研究領域 | 貧困学の確立:分断を超えて |
研究課題/領域番号 |
23H04451
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 太成学院大学 |
研究代表者 |
日吉 和子 太成学院大学, 看護学部, 教授 (80760248)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ユースクリニック / 思春期 / 自殺予防 / 性的健康 / 孤立予防 / 虐待予防 / 地域保健 / ユース保健室 / 女性 / 若者 / 健康 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では子ども・若者自身で医療に繋がりやすい地域を創生することを目的として、若者支援の多団体と協働で実施するユースクリニックを実装し、現行の法律内でどこまで子どもの健康を守ることができるのかを模索する。そのため、利用者を対象にヒアリングを行い、子どもや若者の医療アクセスの障壁と打開策について分析する。更に、諸外国のユースクリニックと比較検討することで日本に適するユースクリニックの政策提言を行う。本研究は学術変革領域(A)「貧困学確立」の公募研究であり、他の班との協働を図ることで日本におけるユースクリニックの構想に繋げる。
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研究実績の概要 |
貧困の連鎖が原因で、子ども・若者の心身に不調として現れた場合も、親や学校に知られることを恐れて大人に相談できない事が多い。その結果、事態が重症化してからやっと医療に繋がっても、発達に重要な時期を病気治療に費やす事となる。そこで本研究では子ども・若者自身で医療に繋がりやすい地域を創生することを目的として、市や若者支援の団体と共同でユースクリニックを実装する。ユースクリニックとは先進諸外国で国が運営している子ども・若者が無料受診できるシステムである。子どもの人権を重要視しているフランスにおいてユースクリニックを調査し、日本における実装に活かす。 本年は2点において研究を実施した:①ユースクリニックの実装は尼崎市と京都市での実装②フランスでのユースクリニックの実態調査。 ①実装では、尼崎市に後援をいただき、11月からあまがさきユース保健室を開催。あまがさき市ユース交流センターのあまぽーとにブースを置かせていただき、週1回の医療従事者による相談受付を行なった。更に12月より月に1回、尼崎市営今北団地で一般社団法人一房の葡萄様のご協力でユース保健室の実施を開始した。3月末までに相談件数は約30件、同伴支援や支援協力で約30回以上の活動を行った。京都では株式会社空き家バンク京都、特定NPO法人happiness.で行われている子ども食堂に出向き、相談の受付を行なった。更に海と空クリニック京都駅前と共同で大学生が主体となり、女性の健康について学び合う海空ユースクリニックを4回開催した。子ども若者の相談内容は精神面が中心で、内容は多岐にわたっていた。②フランスでの調査は、Maison de solenn等でのインタビュー調査を行った。子ども・若者が来たいと思った時がチャンスと考え、いつでも精神医師の診察ができる体制を整えていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ユースクリニック実装研究は尼崎市に後援を頂いたことにより飛躍的に進んだ。広報においてもNHKが取り上げてくださったことにより、尼崎市内の周知に繋がった。また尼崎市子ども青少年課との連携を密にし、子ども青少年課からユース保健室の役割について市内に説明をいただいたため、教育委員会等への理解が深まった。尼崎市の支援団体については市にお聞きした上で市職員の方と一緒に連携をお願いできたことが協働がスムーズにいった一因であった。 京都市では申請者が5年前より行っていたRISTEX(社会技術研究開発センター)の研究、KYOTO SCOPE(https://kyoto-scope.com/) により既に京都府内の女性孤立予防に関する支援団体との連携が取れていたため、依頼・実施が滞りなく行え、協力も得られた。特に対面の事例検討会を行った際のネットワーク作りが連携に重要であった。
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今後の研究の推進方策 |
尼崎市では今北団地でのニーズが高く、回数を増やすことを検討している。また思春期を対象としたメンタルクリニック連携は更に重要で、今後連携機関を増やしていく。精神の訪問看護ステーションの役割が大きいことが分かり、今後連携を密に取っていくことが課題である。 京都市は移動式のユース保健室を行っているため、尼崎市同様、ブースを設けて実施できるよう京都市ユースサービス協会と協議中であり、伏見区で実施開始予定が決まっている。子ども若者達に伝わることが重要であり、広報としての活動が今後の課題である。SNSを使った広報、及び京都市への後援依頼を検討中である。 連携先の関係者へのインタビュー調査を来年度は予定しており、地域に根差した連携体制の検討を行う。 フランスでの調査は終了しており、学会誌に発表できるように準備中である。また来年度は最終年度になるため、政策提言ができるよう準備する。
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