研究領域 | データ記述科学の創出と諸分野への横断的展開 |
研究課題/領域番号 |
23H04481
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
多羅間 大輔 立命館大学, 理工学部, 准教授 (30722780)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 統計的変換モデル / 幾何構造 / 力学系 / 情報幾何学 / 対称性 / Hamilton力学系 / Lagrange力学系 / アファイン接続 / 測地流 / Lie群 / 多変量正規分布 |
研究開始時の研究の概要 |
統計的モデルはデータサイエンスにおける基本的な数理モデルの一つである.本研究では統計的変換モデルという対称性の高い統計的モデルに関連して現れる力学系のふるまいやその性質を特徴付ける幾何構造の解明を行う.また,実践的なデータ解析手法において,力学系や幾何構造が果たす役割を分析する.そのことによって,数学諸分野とデータ科学における応用研究のどちらにも資する形でデータ記述科学を展開させる.
|
研究実績の概要 |
統計的モデルの中でも対称性の高い標本空間に関するモデルとして,統計的変換モデルがある.このモデルに対して,Fisher-Rao計量やAmari-Chentsovテンソル等の情報幾何学の概念を考えると,これらはLie群の左不変テンソルとよばれる良い性質をもった微分幾何学的対象であることが分かる.本研究では特に,これらのテンソルから誘導される測地流の構造や挙動と種々の応用を考察することが大きなテーマである. 2023年度は,統計的変換モデルの情報幾何学に現れる測地流に関する以下のような研究について進展があった.主として,フランスの共同研究者と共同研究の成果である. (1)コンパクトLie群上の統計的変換モデル:コンパクトLie群上のあるクラスの統計的変換モデルについて,α測地流を記述するLie環上の方程式を導出することに成功した.また,半単純Lie群の場合にはsub-Riemann構造との関係を与えた.これに関して,国際会議プロシーディングスに研究結果の論文が掲載された. (2)多変量正規分布に関する統計的変換モデル:Gauss分布族に付随する向きを変えない一般線型群とEuclid空間の平行移動からなる半直積Lie群上のFisher-Rao計量に関する測地流の記述を行い,sub-Riemann構造との関係を明確化した.これに関連する結果を最近国際会議プロシーディングスに論文として投稿した. 2023年8月30日~9月1日にSaint Malo(フランス)で開催された国際会議Geometric Science of Information 2023でセッションをフランスの共同研究者とともに開催し,関連分野の研究者との研究討議を行った. また,学術変革領域「データ記述科学」に参画する統計学を専門とする研究者と,統計的変換モデルの実践的データ解析手法との関係性について議論している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
統計的変換モデルに付随する測地流に関して,コンパクトLie群の場合と多変量正規分布の場合とでそれぞれ測地流の記述に成功し,sub-Riemann構造等との関係も明確化されている.専門とする力学系や可積分系の理論・幾何学を専門としない統計学の専門家とも研究討議を開始できており,おおむね順調に研究が進捗していると考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
統計的変換モデルに付随する測地流の研究を継続し,これまで扱っていない新たな確率密度函数族を例とすることができるよう理論の構築を行う.これによって,統計的変換モデルの情報幾何学と力学系・可積分系の理論との関係をより明確化する. それとともに,学術変革領域(A)「データ記述科学」に参画する研究者を中心に数学以外の分野の研究者も含めて積極的な研究討議を行い,統計的変換モデルに関連する理論的研究と実践的データ解析手法との関係を詳らかにする.
|