研究領域 | 「学習物理学」の創成-機械学習と物理学の融合新領域による基礎物理学の変革 |
研究課題/領域番号 |
23H04521
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中野 直人 明治大学, 先端数理科学研究科, 特任准教授 (30612642)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | ランダムネットワーク / レザバーコンピューティング / 統計物理 / 力学系 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
再帰的ニューラルネットワークの1種であるレザバーコンピューティング (RC) は,学習コストの低さやタスクに対する柔軟性のため,幅広い分野で応用されている.本研究は,力学系と統計物理のアプローチから「どのような入出力時系列に対して,どのように RC のネットワークを設計すれば良いか」の方法論の構築を目的とする.これを基に入出力データを統合した拡大ネットワークを導入し,再現性の高い力学系のエミュレーションを行う.これにより,物理学・数学と機械学習の融合を目指す.
|
研究実績の概要 |
再帰的ニューラルネットワークの1種であるレザバーコンピューティング (RC) は,学習コストの低さやタスクに対する柔軟性のため,幅広い分野で応用されている.本研究は,力学系と統計物理のアプローチから「どのような入出力時系列に対して,どのように RC のネットワークを設計すれば良いか」の方法論の構築を目的としている.RC での時系列推定タスクにおいて,対象の入出力データを内部ネットワークと統合した拡大ネットワークを導入し,RC によってエミュレートされる力学系の再現性の評価方法を検討した.入力層,内部層,出力層は相対的なものであり,全て1つのネットワークで記述することは元々可能である.それに加えて,学習可能であるという理想的な条件下では,入力層の影響は内部層に反映されるため,内部層の状態の時間発展から入力データを再構成することが可能である.そのため,入出力層を縮約して,内部層の状態だけでネットワークモデルを記述することができる.これには埋め込み時系列解析で用いる力学系の縮約理論を用いた.一方,RC は出力層への重みのみを学習するという低学習負荷の機械学習手法であることが長所であったが,入出力を縮約したモデルに対する最小二乗法は従来のように RC における内部層の状態に対する線形重回帰には帰着させられない.これによる計算量増加を避けるためオンライン最小二乗法等のオンライン学習を用いるなどの検討を漸次進めている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は当初計画に沿う形で,拡大ランダムネットワークの学習能力に関して研究の進展が得られたことが主な理由である.研究代表者の機械学習的手法の知見と埋め込み時系列解析の知見を合わせて得ることができたと言える.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進については,MSRDJ 経路積分の方法を用いて,入出力データの力学系が加わった形の拡大ネットワークに対して普遍類を導出することを目指す.その普遍類の相図を作成し,各相において学習可能性の評価を行う.また,遅延座標系の理論を用いた拡大ネットワークの解析を行う.内部ネットワークから入力データを遅延座標埋め込みと消去理論を用いて復元し,仮想的に入力データを消去したネットワークを導出する.さらに2次元相図上の各パラメータでレザバーコンピューティング (RC) のシミュレ ーションを行い,その予測誤差を計算する.その予測性能分布を2次元上にマップし,入力がない場合の相図と比較することで,入出力を内部ネットワークに吸収させた場合の分布の変化を定量化する.これによって,RC の普遍的な性質を導く方法論の整備を推進したい.
|