研究領域 | 生体反応の集積・予知・創出を基盤としたシステム生物合成科学 |
研究課題/領域番号 |
23H04553
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西川 俊夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90208158)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | エンジイン抗生物質 / 生合成機構 / ネオカルチノスタチン / ダイネミシン / 有機合成化学 / 有機合成 / エンジイン |
研究開始時の研究の概要 |
ネオカルチノスタチン, ダイネミシンA、カリチェアミシンなどの抗腫瘍性抗生物質は、9あるいは10員環エンジイン構造を有することから環状エンジイン抗生物質と呼ばれている。2000年代初頭に生合成酵素遺伝子クラスターが特定されたが、高歪みの環状エンジイン部分の生合成に関わる酵素の同定と機能解析はほとんど進んでいない。本研究では、これらエンジイン構造とダイネミシンAのアントラキノン構造は、全て「ポリイン中間体の連続反応によって一挙に生成する」という全く独自の生合成仮説を提唱し、この仮説の合理性を推定基質を化学合成して検証するとともに、この反応を触媒すると考えられる酵素を同定することを目的とする。
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研究実績の概要 |
ネオカルチノスタチンchr. (NCS-chr.), ダイネミシンA、カリチェアミシンなどの抗腫瘍性抗生物質は、特徴的な9あるいは10員環エンジイン構造を有することから環状エンジイン抗生物質と呼ばれている。2000年代初頭に生合成酵素遺伝子クラスターが特定されたが、高歪みの環状エンジイン部分の生合成に関わる酵素の同定と機能解析はほとんど進んでおらず、構築原理は全く未解明である。申請者は、NCS-chr. やダイネミシンAなどの生合成研究の最新の成果を有機合成化学的視点から精査し、有機合成化学的視点から9員環エンジイン抗生物質の骨格を形成する合理的な生合成経路と機構を推定した。この推定経路上の連続的反応の化学合理性を検証するために、連続反応となる基質の化学合成を進めた。 まず、文献に従ってD-アスコルビン酸からジヒドロキシラクトンを合成し、アセチレンとgem-ジブロモオレフィンを有する化合物に変換した。次いで、Pd触媒を使ったエンイン構造を有するスズアセチレンとの連続反応を検討し、シクロペンテン生成物の合成に成功した。今後、Sonogashira カップリングによるアセチレンカルボン酸の導入によって、推定連続的反応の基質合成が可能になると考えている。なお、エンイン構造を有するスズアセチレンの合成は、既知の合成法ではE/Zの選択性が低かったので、ジインのヒドロアルミニウム化を経る新たな方法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
推定連続反応のポリエンイン基質の中には、エポキシド構造が含まれるが、その合成は困難であった。本年度、ジオールの選択的保護に成功し、水酸基の指向性を利用したエポキシド合成によって、必要な位置に望みの立体配置のエポキシドの導入に成功した。これによって、計画しているポリエンイン基質の合成の目処がたったため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに合成に成功したシクロペンテン生成物から、推定生合成前駆体への変換を検討し、推定した連続反応によって、9員環エンジインが生成するかを確認する。9員環生成物は熱的に不安定で、重合する可能性が高いので、包接化することで、重合を抑えるなどして、検出を試みる。あるいは、9員環生成物のBergman環化生成物を検出することで間接的に、環化反応の進行を確認する。
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