研究領域 | 光の螺旋性が拓くキラル物質科学の変革 |
研究課題/領域番号 |
23H04597
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松尾 光一 広島大学, 放射光科学研究所, 准教授 (40403620)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 放射光アンジュレータ / 紫外光渦 / 渦二色性 / 電磁界シミュレーション / 生体分子 / 光渦 / 軌道角運動量 / 放射光 / モーメント法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,螺旋性を持つ“光渦”とキラリティを内包する生体分子との相互作用の研究を展開する。波長300 nm以下の遠紫外領域の光渦を利用し、螺旋光である光渦と,液体・固体状態にある生体分子との相互作用を,様々な分子種(アミノ酸,タンパク質,核酸など)のヘリカル構造に対して議論する。これら実験技術は,キラル物質の超微量・超高感度検出,精密スペクトル解析法の開拓につながると期待され,光渦分光法の有効性を格段と高める。
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研究実績の概要 |
キラリティーは、さまざまな材料の特性や機能を解明するための重要な構造因子であり、スピン角運動量持つ左右円偏光による円二色性分光法は、紫外領域で生体分子のキラリティーを検出するための強力なツールである。一方、軌道角モーメントを利用した光渦も物質のキラリティーを検出する手法として期待されている。本年度は、放射光を用いて光渦と生体分子との相互作用を観測する紫外実験系を構築し、またモーメント法によるシミュレーションを用いて相互作用の存在を理論的に検証した。光渦実験は、UVSOR-IIIのAPPLEII型ヘリカルアンジュレーターBL1Uにて実施した。紫外領域における光渦の二重スリット及び三角アパチャーによる回折パターンを観測した結果、いずれも光渦で見られる特殊な回折パターンが得られた。これにより、紫外領域での光渦の発生を確認することができた。d-10カンファースルホン酸の円偏光渦二色性と直線偏光渦二色性スペクトルを波長305-270nmの範囲で観察した結果、円偏光渦二色性が観測されたが、直線偏光渦二色性は観測されなかった。さらに、円偏光渦二色性の強度は、円二色性よりも増大しており、暫定的な結果であるが、紫外領域でも渦二色性の存在が示唆された。完全導体のヘリカルコイル(シングル、ダブル、トリプル)を入射電磁波(右および左光渦:波長190と20nm)の中心に置き、モーメント法を用いて、散乱総電力と放射パターンを計算した結果、各ヘリカルコイルからの放射パターンは、190 nm では右と左光渦でほぼ一致したが、20 nm では大きく異なり、またヘリカルコイルの種類に依存することが分かった。同様な結果が、ヘリカルコイルからの散乱総電力からも得られ、光渦とヘリカルコイルの相互作用は、波長やヘリカル構造に強く依存することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、放射光光源を用いて紫外光渦の観測システムを構築することができ、また紫外光渦発生の確認、キラル分子の測定を実施することができた。また測定波長点が限られるが、同時並行でレーザーを用いた光渦実験のシステムも構築することができ、すでにキラル分子の測定を実施している。さらに、理論計算においてもモーメント法を用いた計算手法を確立することができ、波長やヘリカルコイル構造を変化させた場合の結果も得られている。国内・国際会議での研究成果報告も随時行っており、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
放射光実験では、L型のカンファースルホン酸の測定を行い、円偏光渦二色性の発生に対するさらなる理解を深めると共に、生体分子であるタンパク質・核酸・多糖類の測定を実施する。また、測定装置の高度化として小型分光器を用いた手法を採用し、広範囲の紫外領域の光渦強度が短い時間で観測できるようにする。理論計算では、右と左光渦の散乱強度の差だけでなく、吸光度に関するパラメーターも獲得できるように計算方法を改良する。また、ヘリカルコイルの数や向きを考慮した計算を進め、実験状況に近い環境での散乱や吸収の挙動を確認する。
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