研究領域 | CO環境の生命惑星化学 |
研究課題/領域番号 |
23H04649
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉信 淳 東京大学, 物性研究所, 教授 (50202403)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 表面反応 / 赤外分光 / 質量分析 / 惑星環境 / 一酸化炭素 / 放射光光電子分光 / 遷移金属硫化物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、惑星環境下においてモデル化した表面におけるCOを含む反応プロセスを、表面振動分光と質量分析によりその場観測する。惑星環境における温度領域は数10Kから数100Kと極めて大きい。熱反応だけでなく可視・紫外 光や荷電粒子により誘起される反応を扱うことも必要となる。温度可変、圧力可変、光・荷電粒子の照射が可能な反応セルを試作し、惑星環境下で重要となる固体(氷、岩石、金属など)における表面反応を観測する。炭素原子1個を含むCO、二酸化炭素、メタンを中心に、惑星環境をモデル化した条件で表面反応プロセスを観測し、その反応キネティクスおよびポテンシャルエネルギーダイアグラムを明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、惑星環境下の固体表面における化学反応を研究するために表面分光と質量分析によるその場観測法を構築し、 惑星環境下のモデ ル表面における不均一触媒反応の研究に適用し、COを含む表面反応プロセスを明らかにすることである。惑星環境下で 重要となる固体(氷、岩石、金属など)をモデル化し、その表面における不均一反応を赤外分光,放射光分光,質量分析などにより研究する。 2023年度は研究実施計画に基づいて,下記の研究を行った. (1)地球に比較的アバンダントに存在する遷移金属硫化物の表面を調製し,表面分光による研究を行った.具体的には,放射光光電子分光を用いて,MoS2基底面およびエッジ面の電子状態・化学状態を観測した.さらに,水素,水,二酸化炭素などの気体にそれらの表面を曝露し,表面状態の変化を調べた.その結果,欠陥の無いMoS2基底面ではほとんど化学反応は起こらないが,欠陥のある基底面では水素化脱硫反応などが進行することがわかった.また,エッジ面では硫黄欠陥に起因するMo2+や金属的なMoの状態が観測された.さらに,エッジ面は水や二酸化炭素などの気体と化学反応することが観測された.また機械的に鏡面研磨したFeS2表面を放射光光電子分光で観測すると,硫黄の欠陥に由来するスペクトルが観測された (2)カンラン石表面の化学反応性を調べるために,超高真空赤外透過吸収分光で観測を行った.不純物等を表面から脱離させるために加熱を行い,その後,水素や水に曝露する予備実験を行った. (3)雰囲気中や液体中でモデル金属化合物(硫化物,酸化物)の表面反応を顕微FTIRで観測するためのサンプルセルを試作した.また,反応物と生成物を四重極質量分析計でサンプリングするシステムを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究実施計画のうち,以下の実験的研究を行うことができたため,順調に進展していると判断した. ・MoS2基底面およびエッジ面の評価と反応について成果が得られた. ・FeS2表面の調製と放射光光電子分光による測定を始めた. ・顕微FTIR分光用の雰囲気・液体セルの設計と試作を行った. ・四重極質量分析計による反応物と生成物のモニタリングシステムを構築した.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究実施計画に従って,以下の研究を進める. ・MoS2基底面,欠陥面,エッジ面におけるCO,CO2,ギ酸,ホルムアルデヒド,水などが関わる化学反応を研究する. ・FeS2モデル表面の調製法を確立し,その表面分析を行う.CO,CO2,ギ酸,ホルムアルデヒド,水などが関わる反応を研究する. ・カンラン石の清浄表面調製法を確立し,原子状水素や水分子との反応について研究を行う.
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