研究領域 | 行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学 |
研究課題/領域番号 |
23H04676
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石井 信 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90294280)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 行動変容 / ベイズ脳 / 双方向回路 / メタ認知 / 機能的核磁気共鳴図 |
研究開始時の研究の概要 |
脳の基底ネットワークの変化による認識、推論、意思決定の機能の変化である行動変容を、ネットワークベイズモデルに基づき数量化可能なレベルで定式化し、さらにそこに客観的および主観的な不確実性がいかに影響するのかを評価することを目的に、ヒトを用いた行動実験および機能的核磁気共鳴図(fMRI)実験を行う。この実験は、霊長類(マーモセット)を用いても実施可能なものとする。 上記の実験研究で用いる脳・AIハイブリッド法に基づくネットワークモデルベースの解析法が、異なる種間、異なる計測モダリティ間にわたるデータの解析において共有し得るのかを予備的に調べる。
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研究実績の概要 |
静止画認識課題を用いて、ヒト脳の、事前知識と刺激の統合による認識過程のモデル化を進め、特に事前知識の表象をネットワークレベルで調べた。自然画像から、視覚的顕著度を一定に保ったうえで、段階的に非自然な人工画像に変換する画像変換法を開発したので、これにより生成した刺激セットを提示することで、自然画像の認識過程において事前知識の量を実験側で制御することができる。画像の自然さ(尤度)は低次視覚野と高次視覚野のバランスで制御されていること、また、事前知識はいわゆるデフォールトモードネットワークで表現されている可能性を見出し、結果をまとめた論文は現在投稿中である。また、霊長類(マーモセット)を用いた同様の実験の準備として、動画認識問題への拡張を行っている。 ヒトの階層的推論の過程における刺激の不確実性とその内省的評価がいかに推論に関わるのかを調べた。主観的確信度がヒトの推論においてネットワークレベルでいかに影響するのかが調べられると期待される。プレリミナリな行動実験およびfMRI計測実験からなる実験を行った結果を論文として投稿していたところ、採択となった(Katayama, et al., to appear)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実施予定の研究は全て順調であり、その成果については複数の国際会議や国内会議で報告を行うとともに、論文投稿中である。 それらに加えて、階層的推論にいかに内省的評価(メタ認知)が関わるのかを調べた研究は、良質な国際学術専門雑誌に掲載となった。この成果は当初計画にはなかったが、次段階である、能動推論に内省的評価がいかにネットワークレベルで関わるのかという課題に対して大きな知見を与えると期待される。 これらを総合的に評価して、「当初の計画以上に進展している」と判定した。
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今後の研究の推進方策 |
領域内共同研究を通じて、霊長類(マーモセット)の意思決定学習課題中のカルシウムイメージングデータを得たので、ネットワークレベルでの行動変容基盤を探る研究を開始する。また、引き続き、マーモセットを用いたイメージング実験の設定を、共同研究者と共に進める。 人工文字当て課題を用いて、ヒトの推論と意思決定の過程における刺激の不確実性とその内省的評価がいかに推論に関わるのかを調べる研究は、既に30人分のデータと基礎モデルを得ているので、モデルベース解析の結果をまとめて、論文化を図る。
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