研究領域 | 行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学 |
研究課題/領域番号 |
23H04677
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
渡邉 大 京都大学, 医学研究科, 教授 (90303817)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 意思決定 / 大脳-基底核 / 認知的柔軟性 / 前頭前皮質 / 線条体 / 機能的MRI / 認知バイアス / ライブ細胞イメージング / MRI |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの行動の根幹となる意思決定の神経機構を理解することは、脳科学の重要な目標となっている。中脳ドパミン系-基底核回路に注目した研究により報酬履歴からの行動価値計算に基づく意思決定機構について多くの知見が得られてきた。しかしながら、このような過去の試行結果による強化学習モデルのみでは、ヒトの柔軟な意思決定を説明するのは困難である。ヒトには「認知的柔軟性」の能力が備わっており、状況変化に応じて柔軟かつ臨機応変に行動することができるが、その生物学的基盤について詳細は不明である。本研究では、状況により巧みに認知バイアスを働かせることで柔軟かつ的確に意思決定する行動変容の神経回路機構を解明する。
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研究実績の概要 |
行動戦略のスイッチングに伴う神経活動変化を明らかにするために、局所脳動態のアプローチとして、マルチカラー内視顕微鏡によるライブ細胞イメージングにより、認知課題実施中のマウスの眼窩前頭皮質(OFC)第2/3層の神経細胞の神経活動計測を実施した。マルチカラーイメージングの利点を活かして、Ca2+指示タンパク質に加えて、神経細胞の位置及びモーション検出を目的として赤色蛍光タンパク質を同時に発現させることで、数週間にわたり同一神経細胞の神経活動を追跡した。課題試行中の神経活動がどのような情報を表現しているか、さらに試行間の神経活動も含めて単一細胞レベルの機能的結合性のダイナミクスについて解析を進めた。 また本内視顕微鏡技術を使ってFRETイメージングを実施し、線条体背側部のERK(Extracellular signal-Regulated Kinases)活性動態について解析を行なった。線条体中型有棘神経細胞(MSN)では、ERKがグルタミン酸受容体やドパミン受容体からのシグナルを核へ媒介し、可塑性制御に関わっていると考えられている。しかしながら実際の行動中の神経細胞のERK活性動態について詳細は不明である。内視顕微鏡により認知課題実施中のMSNの核内ERK活性について解析した結果、約40%のMSNの核内ERK活性ダイナミクスは、課題試行中の行動や課題の成否の情報を表現していることを見出した。 上記の内視顕微鏡による脳局所の解析と並行して、全脳スケールの脳動態のアプローチとして、認知課題実施後の無麻酔での安静時fMRIの解析も進みつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内視顕微鏡によるCa2+イメージングについて、単一細胞の精度で追跡できるようになった結果、行動の変化に伴うOFC局所神経回路の神経活動アンサンブルや機能的カラム様構造の変化について知見が得られつつある。また線条体MSNの解析により、同一神経細胞のCa2+活動とERK活動がそれぞれ異なる行動面の情報を表現していることが明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
内視顕微鏡による神経活動解析については、DeepLabCutによる行動データ解析を導入することで、単に課題の成否のみならず、行動変容とOFC神経活動の推移の関係性について詳細な解析を進める。安静時fMRIのデータ解析も引き続き進めていく。
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