研究領域 | 行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学 |
研究課題/領域番号 |
23H04691
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉原 良浩 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (20220717)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 前障 / 大脳皮質広域ネットワーク / 行動変容 / スイッチボード / 意識レベル / 神経回路 / TRIO |
研究開始時の研究の概要 |
行動変容を創発する神経回路基盤として、Default Mode Network、Salience Network、Central Executive Networkなどの大脳皮質広域ネットワークの迅速かつ正確な切り替えが重要な役割を果たすと考えられる。前障(Claustrum)は大脳皮質の内側に存在する神経核であり、すべての皮質領野と双方向性に神経結合するユニークな脳領域である。本研究では「前障が大脳皮質広域ネットワークのスイッチボードとして機能することによって行動変容が創発される」という仮説を立て、行動変容の創発における前障の機能解析および前障-大脳皮質広域ネットワーク動態解明に挑戦する。
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研究実績の概要 |
行動変容を創発する神経回路基盤として、Default mode network, Salience network, Central executive networkなどの大脳皮質広域ネットワークの迅速かつ正確な切り替えが重要な役割を果たすと考えられる、前障(Claustrum)は大脳皮質内側に存在する神経核であり、すべての皮質領野と双方向性に神経結合するユニークな脳領域である。本研究では「前障が大脳皮質広域ネットワークのスイッチボードとして機能することによって行動変容が創発される」という仮説に立脚し、行動変容の創発における前障の機能解析および前障-大脳皮質広域ネットワーク動態の解明を目指す。2023年度においては以下の研究成果を得た。 (1)神経回路遺伝学的解析:AAVretroを用いた前障の逆行性標識とscRNA-seqを組み合わせることにより、前障ニューロンの遺伝子発現プロファイリングを行った。その結果、前障には投射パターンの差異および遺伝子発現プロファイルの違いによって規定される異なるニューロンサブセットが存在することが明らかとなった。 (2)神経活動イメージング解析:前障ニューロンにGCaMPを発現させ、ファイバーフォトメトリーを用いて前障ニューロンの活動をin vivoで記録するシステムの構築に成功した。 (3)行動解析:Cla-Cre#1マウスにおいて前障ニューロンの興奮が大脳皮質のグローバルな神経活動のサイレンシングを引き起こすというデータをもとにして、前障ニューロン活動と選択的注意・連合記憶・意思決定などの行動変容の創発を解析するための行動実験パラダイムを作成した。特に反転学習における前障ニューロンの関与についての解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究により、神経解剖学的かつ分子発現プロファイルにおいて異なる前障ニューロンサブセットを同定することができた。また、GCaMP/ファイバーフォトメトリーを用いての前障ニューロンのin vivo活動計測法のセットアップに成功した。さらに、前障ニューロン活動と選択的注意・連合記憶・意思決定などの行動変容の創発を解析するための行動実験パラダイムを作成した。これらの結果から、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、TRIO法を用いた前障ニューロンの出入力回路の詳細な解析とともに、ウイルスベクターとscRNA-seqを組み合わせた神経解剖学・分子生物学的解析、カルシウムイメージング法を駆使しての生理学的解析、反転学習などの行動学的解析を組み合わせることによって、異なるタイプの前障ニューロンの機能的差異の解明へと向かう。
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