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植物の成長と姿勢を統御するメカニカルフィードバックの解析

公募研究

研究領域力が制御する生体秩序の創発
研究課題/領域番号 23H04708
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関岡山大学

研究代表者

本瀬 宏康  岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (70342863)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
キーワード成長極性 / 姿勢制御 / メカニカルフィードバック / 微小管 / 張力 / 極性成長 / 張力応答 / メカニカルシグナル / キナーゼ / 植物 / 形態形成 / 姿勢
研究開始時の研究の概要

生物の形が作られるためには、体を構成する個々の細胞が、器官全体の形・サイズを認識して、適切に成長する必要がある。このために、空間的な情報を細胞に伝える2種類のシグナルが用いられている。1つは、拡散して濃度勾配を形成するシグナル分子、もう一つは、成長に伴って発生する物理的な力(メカニカルシグナル)である。本研究では、不明な点の多いメカニカルシグナルに着目し、植物をモデル系として用いて、形態形成を制御する普遍的な仕組みを明らかにする。特に、細胞がどのように物理的な力を認識しているのか、また、物理的な力を介して、個々の細胞と器官全体の成長がどのように協調するのかを明らかにする。

研究実績の概要

植物では、形態形成に伴って発生する張力の方向に微小管が整列し、方向性のある成長や姿勢制御が行われる。しかし、その機構はわかっていない。本研究では、張力に応答して極性局在するNIMA関連キナーゼ(NEK6)を用い、張力応答のイメージングとそのメカニズムの解析を行った。
1)張力応答のイメージング: NEK6-GFPを用いて、張力応答のイメージングを行った。花茎・めしべなど多様な器官を観察する方法、取得した画像からNEK6と微小管の配向を定量化する手法をほぼ確立した。花茎では、長軸に垂直な方向から、長軸方向へと変化する様子を明らかにした。また、張力応答は器官により異なり、細胞による多様性が見られた。このことから、発生段階によって張力応答が変動し、内部環境や外部刺激に柔軟に適応すると考えられた。
2)張力応答ドメインとイメージングツール: 張力応答機構を明らかにするため、NEK6の張力応答に必要な領域を限定した。この領域とGFPを融合した新規なイメージングツールを作成中である。また、8種類の組織特異的プロモーター制御下で、NEK6-GFPを発現する系統を作出し、組織特異的な張力応答とその機能を解析した。NEK6は表皮と維管束で張力応答に関わることが示唆された。
3)張力応答を制御する機構: 張力応答を制御する新規因子を同定するため、NEK6の張力応答ドメインを用いた相互作用因子の探索を行った。また、NEK6-GFP発現系統を変異原処理し、張力応答が異常な変異体候補の単離を行った。
植物では、アクチン繊維が張力応答に関与するのかわかっていない。アクチン阻害剤により、NEK6-GFPの極性局在が消失することから、アクチン繊維が張力応答において機能することが初めて明らかになった。また、2種類のアクチン変異体にNEK6-GFPを導入済みであり、その局在と張力応答を解析している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

様々な組織・器官における張力応答のイメージングに成功している。特に、花茎・めしべ・種子など多様な器官における観察手法、NEK6と微小管の配向を定量化する画像解析法をほぼ確立している。これらの方法を用いて、器官によって異なる張力応答を明らかにした。柔軟な張力応答により、発生段階によって変動する内部環境・外部刺激に適応すると考えられる。
また、各種イメージングツールを開発した。張力応答・微小管への局在に必要な領域をGFPと融合したイメージングツールを開発した。また、8種類の組織特異的プロモーター制御下で、NEK6-GFPを発現する系統を作出し、NEK6が表皮と維管束で張力応答に関わることを示した。
加えて、張力応答を制御する新規因子を同定するため、NEK6の張力応答ドメインを用いた相互作用因子の探索、NEK6の張力応答が異常になった変異体候補の単離を行った。現在、1系統の特徴づけとマッピングを行っている。NEK6-GFPの極性局在を指標にすることで、アクチン繊維が張力応答に関与することを初めて明らかにした。現在、NEK6-GFPを発現する2種類のアクチン変異体を用いて、アクチンの役割を解析している。

今後の研究の推進方策

1)張力応答のイメージング: 組織特異的な張力応答の結果をまとめ、論文を投稿する。細胞除去実験や変異体の表現型解析も併せてまとめたい。また、微小管を部分的にラベルする系統を用い、張力応答における動態を明らかにする。
2)張力応答ドメインとイメージングツールの開発: 張力応答に必要なドメインとGFPを融合した新規なイメージングツールの開発を引き続き行う。組織特異的プロモーター制御下でNEK6-GFPを発現する系統については、発現レベルが低いものがあるため、ゲノミッククローンを用いた株を作出中である。
3)張力応答を制御する分子機構: 相互作用因子と変異体候補の解析を引き続き進める。特に変異体についてはスクリーニングを継続して行い、有望な系統を増やす必要がある。また、NEK6-miniTurboを発現する系統を用いて、近位依存性ビオチン標識を行い、相互作用因子を特定し、新たな張力応答因子の特定と解析を行う。アクチンと微小管の2重ラベル株を用いて、張力応答におけるアクチンと微小管の相互作用を明らかにする。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] ENS Lyon(フランス)

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] Thermospermine Is an Evolutionarily Ancestral Phytohormone Required for Organ Development and Stress Responses in <i>Marchantia Polymorpha</i>2024

    • 著者名/発表者名
      Furumoto Takuya、Yamaoka Shohei、Kohchi Takayuki、Motose Hiroyasu、Takahashi Taku
    • 雑誌名

      Plant And Cell Physiology

      巻: 65 号: 3 ページ: 460-471

    • DOI

      10.1093/pcp/pcae002

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Overexpression of NIMA-related kinase suppresses cell proliferation and tip growth in a liverwort Marchantia polymorpha2023

    • 著者名/発表者名
      Mase Hikari、Yoshitake Yoshihiro、Kohchi Takayuki、Takahashi Taku、Motose Hiroyasu
    • 雑誌名

      biorXiv

      巻: 2023.01.25.525476 ページ: 1-39

    • DOI

      10.1101/2023.01.25.525476

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] NEK6 provides tissue-specific growth anisotropy through its actin-dependent polar localization in Arabidopsis thaliana2024

    • 著者名/発表者名
      Yumeko Nomura, Hiroyasu Motose
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ゼニゴケ仮根伸長における NIMA 関連キナーゼと微小管付随タンパクの機能的相互作用2024

    • 著者名/発表者名
      本瀬宏康
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] KCBP キネシンはゼニゴケの仮根細胞における色素体の逆行輸送に関与している2024

    • 著者名/発表者名
      米田優作,本瀬宏康
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ゼニゴケ MpTRAF1 は MpNEK1 と相互作用し,仮根成長を制御する2024

    • 著者名/発表者名
      水田百香,間瀬輝,中神弘史,本瀬宏康
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ホメオドメインロイシンジッパー転写因子 MpC4HDG はゼニゴケの仮根と葉状体の成長を制御する2024

    • 著者名/発表者名
      坂本龍哉,磯山彰吾,高橋卓,本瀬宏康
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] NIMA-related protein kinases regulate microtubule response to tensile stress in Arabidopsis thaliana2023

    • 著者名/発表者名
      Nomura Y, Takatani S, Hamant O, Motose H
    • 学会等名
      33rd International Conference on Arabidopsis Research
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] ゼニゴケキネシンファミリーの機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      米田優作、本瀬宏康
    • 学会等名
      日本植物学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ゼニゴケ仮根の伸長方向を制御する NIMA 関連キナーゼとその相互作用因子の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      間瀬輝、中神弘史、高橋卓、本瀬宏康
    • 学会等名
      日本植物学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ゼニゴケ仮根の先端成長を制御する新規構造体の解析2023

    • 著者名/発表者名
      水田百香、本瀬宏康
    • 学会等名
      細胞骨格研究会 -Plant Cytoskeleton 2023-
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] シロイヌナズナNIMA関連キナーゼ6が機能する組織の特定とアクチン繊維の関与2023

    • 著者名/発表者名
      野村夢子、本瀬宏康
    • 学会等名
      細胞骨格研究会 -Plant Cytoskeleton 2023-
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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