研究領域 | 植物の挑戦的な繁殖適応戦略を駆動する両性花とその可塑性を支えるゲノム動態 |
研究課題/領域番号 |
23H04750
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
越水 静 国立遺伝学研究所, 情報研究系, 助教 (60823565)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 植物精子 |
研究開始時の研究の概要 |
植物は多様な雄雌の形を持つが、そもそも植物における雄と雌はどのように進化したのであろうか?この問いに対して、越水班では植物の精子に着目し「雄性」配偶子がどのような因子の進化によって形成されるようになったのか解明することでアプローチする。具体的には、生物の系統情報とオミクス情報を統合したスクリーニングから、精子を形成する系統群において分子進化の進んでいる因子に注目し、精子を形成するに至った鍵となる因子の特定と、その因子の機能進化を解明を目指す。
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研究実績の概要 |
①本研究では、精子の観察が容易なゼニゴケ(Marchantia polymorpha)を研究材料として使用する計画である。研究代表者はこれまで共同研究ベースにてゼニゴケを用いた研究を行なってきたが、自らの研究室にて解析を行うため今年度はゼニゴケの導入をまず行なった。精子の形態異常や葉状体の病気が発生するなど難航したものの、現在は解決済みであり、ゼニゴケの導入に無事成功している。精子形成に関わる候補因子についても一部ノックアウトに成功した。 ②また共同研究にて植物精子の鞭毛の構造解析を進行中である。Streptophytaは進化的にモータータンパク質である外腕ダイニンの遺伝子を失っていることが知られており、構造解析からもその特徴が明らかになった。さらに、植物の精子に特徴的な構造が見えてきている。 ③In silico解析では、クラミドモナスにおいて既知である鞭毛関連因子を基に、動物界と植物界に渡って大規模なオーソログ解析を行なったところ、興味深い因子を発見した。ラジアルスポークのサブユニットの1つをコードする遺伝子が、鞭毛を失った被子植物においても存在しており、シロイヌナズナでは花粉管で強く発現していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究材料であるゼニゴケの導入が難航したが、現在は改善済みであり、研究も順調に進行し始めている。
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今後の研究の推進方策 |
①については、引き続き候補因子のノックアウトを行った後、変異体の表現型を観察し、候補因子の機能解析を行う予定である。 ②については、植物精子特異的な構造タンパク質について構造決定を行い、最終的には遺伝子の特定まで行う。 ③については、大規模なオーソログ解析ツールの結果であるため、まずは系統樹を作成し、オーソログ関係に間違いがないかを確認する。次のステップとしてシロイヌナズナにおける同因子の機能解析を行う予定である。シロイヌナズナにはT-DNA挿入ラインが存在するため、ノックアウトを自身で行う必要がなく、ハードルも低い。
上記の各因子について機能解析まで行ったのち、他の生物におけるオーソログとの機能を比較し、最終的には機能進化について議論する予定である。
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