研究領域 | 植物の挑戦的な繁殖適応戦略を駆動する両性花とその可塑性を支えるゲノム動態 |
研究課題/領域番号 |
23H04756
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
川勝 泰二 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (30435614)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2024年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | 転写因子 / cis変異 / 遺伝子発現多様化 / イネ / エピゲノム / 多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝子発現は転写因子が遺伝子発現制御領域(cis-regulatory element: CRE)に結合することで制御される。遺伝子発現変化を伴うCRE変異は両性花の自殖・他殖の切換えに代表される挑戦的な繁殖適応戦略の根源と考えられる。本研究では、世界のイネコアコレクションを対象に、代表的なイネ転写因子について転写因子結合アトラスを取得し、遺伝子発現変化を引き起こす機能的なCRE変異を網羅的に同定し、種内多様化の遺伝的基盤を明らかにする。さらに、エピゲノム解析・1細胞オミクス解析によって遺伝子発現多様性を生み出すゲノム動態を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、世界のイネコアコレクション(WRC)を対象として代表的なイネ転写因子について転写因子結合アトラスを取得し、遺伝子発現変化を引き起こす機能的なCRE変異を網羅的に同定し、種内多様化の遺伝的基盤を明らかにする。 今年度は、代表的なイネ転写因子のWRCゲノムDNAへの結合アトラスの取得と、WRCのDNAメチローム解析を進めた。これまでに、転写因子結合アトラスから同定したDNA認識配列のクラスタリングから、28種類の転写因子ファミリーを含む代表的な52種類の転写因子を選抜している。このうち24種類の転写因子について、WRC 57系統を含む61系統のゲノムDNAに対してDAP-seqを行い、18種類の転写因子について結合アトラスを取得した。大多数のピークは全ての系統で共通して観察されたが、系統特異的なピークも多数観察された。このことは遺伝子領域外におけるゲノム・エピゲノム変異が転写因子結合能を変化させたことを示している。DAP-seqでは精製したゲノムDNAを用いるため、影響を受けうるエピゲノムはDNAメチル化のみである。そこで、播種後3週間目のシュートから抽出したゲノムDNAを用いてWGBSを行い、61系統のDNAメチロームを取得した。CG、CHG、CHHいずれのクラスにおいてもゲノム全体のメチル化レベルはジャポニカ品種で高く、アウス、インディカ品種で低かった。遺伝子内のDNAメチル化レベルも亜種でクラスタリングされたことから、DNAメチル化パターンは亜種間で保存されていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り代表的転写因子のうち18種類についてWRCを対象としたDAP-seqを実施し、自然変異が転写因子結合能に影響を及ぼすことを明らかにした。屋内型GCが不調のためATAC-seqは次年度実施することとし、その代わりに予定外であったDNAメチロームを取得した。
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今後の研究の推進方策 |
転写因子結合能を変化させる自然変異の同定については、全てのWRC系統を用いるのではなく、20系統程度に絞ることで、残りの全転写因子を解析する。また、屋内型GCの復旧が見込めないため人工気象機を導入してWRCのATAC-seqを行う。
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