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HLAの翻訳後修飾・輸送の違いを考慮した自己認識免疫バランスの重要性

公募研究

研究領域生体防御における自己認識の「功」と「罪」
研究課題/領域番号 23H04764
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関千葉大学

研究代表者

青木 重樹  千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (30728366)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
キーワードHLA / ヒト白血球抗原 / 糖鎖 / 小胞体ストレス / β2ミクログロブリン
研究開始時の研究の概要

HLAは自己認識に重要な分子であり、T細胞にシグナルを入力するものと広く理解されている。しかし、その教科書的理解のみで免疫バランスの恒常性を捉えることには無理がある。我々はこれまでにHLA依存的な薬物毒性研究を行い、HLAの多型間で細胞内での成熟過程や表面への輸送機構が異なり、毒性リスクと関連する可能性を見出している。本研究では、HLAがもつ分子特性を中心に、自己の免疫バランス理解に努める。

研究実績の概要

HLAクラスⅠ分子は、β2ミクログロブリンとヘテロ二量体を形成して発現し、T細胞に抗原ペプチドを提示して免疫を制御するとされている。しかし、その古典的なHLA発現のみではないことをこれまでに見出している。特に、HLAへの修飾の一つである糖鎖に着目し、Endoglycosidase H(Endo H)で切断され得る未成熟な糖鎖発現の割合が、HLAとβ2ミクログロブリンとの結合割合の低さと相関する可能性を考えている。そこで、実際に、β2ミクログロブリンをノックアウトさせたところ、完全にEndo H感受性のHLAのみとして発現することが分かった。また、それは細胞表面上にも発現し得ることを見出し、通常の、小胞体-ゴルジ体を介した輸送とは違う経路で運ばれている可能性についても、輸送阻害剤を用いた検討から示唆している。さらに、糖鎖プロテオーム解析を行ったところ、それら未成熟な糖鎖は高マンノース型であることも確認できている。同解析から、さらにユニークな糖鎖発現についても見出しているが、その点は今後の研究により詳細を詰めていく予定である。
このような非典型的なHLA発現が免疫的・毒性的にどのような影響を及ぼすかは重要な課題である。そこで、免疫毒性に関係するHLA-B*57:01と薬物アバカビルの組み合わせに焦点を当てて研究を進めている。興味深いことに、古典的な小胞輸送の阻害剤を用いて細胞表面上のHLA-B*57:01発現をなくし、ほぼEndo H感受性のHLA発現のみにした際にもHLAとアバカビルは結合していることを見出し、このような非典型的なHLAが免疫的なリガンドとして機能している可能性を考えている。今後、それを認識し得るセンサーやリガンドとしての構造的特徴など、様々検討していく必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HLA分子のユニークな翻訳後修飾や輸送について分子機序を明確に見出せつつあり、研究は順調に進んでいると判断できる。

今後の研究の推進方策

これまでに見出した知見をもとに、未成熟糖鎖型HLAの免疫的意義などの解明に努める。それが可能となるようなモデルマウスの作出および解析を進め、動物レベルでの意義解明も行いたい。また、このような非典型的HLAのリガンドとしての特徴を明らかにすべく、ペプチドーム解析や構造解析などを実施し、通常のフォームとの違いを探しつつ、免疫センサーの同定に向けても研究を展開したい。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] HLA-B*57:01-dependent intracellular stress in keratinocytes triggers dermal hypersensitivity reactions to abacavir2024

    • 著者名/発表者名
      Kazaoka Akira、Fujimori Sota、Yamada Yushiro、Shirayanagi Tomohiro、Gao Yuying、Kuwahara Saki、Sakamoto Naoki、Susukida Takeshi、Aoki Shigeki、Ito Kousei
    • 雑誌名

      PNAS Nexus

      巻: 3 号: 4 ページ: 140-140

    • DOI

      10.1093/pnasnexus/pgae140

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Pathological changes in various organs in HLA-B*57:01 transgenic mice with abacavir-induced skin eruption2024

    • 著者名/発表者名
      Kazaoka Akira、Kumagai Kazuyoshi、Matsushita Junya、Aida Tetsuo、Kuwahara Saki、Aoki Shigeki、Ito Kousei
    • 雑誌名

      Toxicological Research

      巻: 40 号: 2 ページ: 223-235

    • DOI

      10.1007/s43188-023-00220-1

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] アバカビル誘発性皮膚過敏症へのHLA多型依存的な小胞体ストレスの関与2023

    • 著者名/発表者名
      風岡顯良、藤森惣大、山田悠士郎、青木重樹、伊藤晃成
    • 学会等名
      第30回 HAB研究機構学術年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] HLA-B*57:01導入マウスを用いた,アバカビルの再投与による過敏症症状の再現2023

    • 著者名/発表者名
      風岡顯良、青木重樹、伊藤晃成
    • 学会等名
      第50回 日本毒性学会学術年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] The importance of HLA polymorphism-dependent endoplasmic reticulum stress in abacavir-induced hypersensitivity reactions2023

    • 著者名/発表者名
      Shigeki Aoki, Akira Kazaoka, Sota Fujimori, Yushiro Yamada, Kousei Ito
    • 学会等名
      2023 ICCP/JSSX International Joint Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Utilization of HLA transgenic mice for evaluating cutaneous adverse drug reactions2023

    • 著者名/発表者名
      Shigeki Aoki
    • 学会等名
      11th International Congress of Severe Cutaneous Adverse Reactions (iSCAR) 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] HLA遺伝子導入マウスを用いた特異体質薬物毒性研究2023

    • 著者名/発表者名
      青木重樹
    • 学会等名
      第50回 日本毒性学会学術年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] HLAトランスジェニックマウスを活用した薬物毒性研究の現状と展望2023

    • 著者名/発表者名
      青木重樹
    • 学会等名
      第30回 日本免疫毒性学会学術年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] HLAクラスⅠ分子ごとの細胞内局在および翻訳後修飾の違いの検討2023

    • 著者名/発表者名
      坂本尚輝、白柳智弘、梅澤啓太郎、風岡顯良、三浦ゆり、伊藤晃成、青木重樹
    • 学会等名
      第46回 日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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