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マクロファージによる腫瘍認識システムとその破綻によるがん進展の解明

公募研究

研究領域生体防御における自己認識の「功」と「罪」
研究課題/領域番号 23H04778
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関京都大学

研究代表者

榎本 将人  京都大学, 生命科学研究科, 助教 (00596174)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
キーワードがん / 生体恒常性維持 / マクロファージ / 免疫応答 / 細胞間相互作用 / 生体恒常性
研究開始時の研究の概要

本研究は、生体の免疫センサーがもつ「自己」と「非自己」認識に着目して、マクロファージによる腫瘍認識機構とその破綻によるがんの発生機序の基本原理を明らかにしていくものである。この目的を達成するために、遺伝学的解析や生体ライブイメージング解析を駆使しながら腫瘍とマクロファージの相互作用の分子実体とその制御機構を解析していく。

研究実績の概要

生物は生体外から侵入した病原体を自身とは異なる“非自己”として認識・排除し恒常性を維持している。しかし、もともと“自己”細胞であった腫瘍細胞に対して、生体の免疫センサーがどのように健常細胞との違いを識別し異物として感知・認識しているのか、腫瘍認識の仕組みについては不明な点が多い。本研究では、ショウジョウバエ遺伝学を駆使することで上皮に発生させた腫瘍に対するマクロファージの認識機構とその破綻によるがん発生メカニズムを解析し、免疫センサーの自己認識を起点とした生体防御システムの理解を目指していく。ショウジョウバエ上皮にがん遺伝子Srcを活性化した細胞集団(がん原性細胞集団)を誘導すると、これらの細胞の周囲にマクロファージが集積していたことから、がん原性細胞とマクロファージの時空間動態をライブイメージング手法により解析した。その結果、マクロファージががん原性細胞を上皮層から積極的に除去していることが分かった。そこで、マクロファージによる腫瘍認識・排除に関わるがん原性細胞側の因子を探索したところ、細胞膜貫通型プロテアーゼがマクロファージによる腫瘍細胞の排除に関連していることが見えてきた。このことはマクロファージによる腫瘍認識・排除において、細胞膜貫通型プロテアーゼががん原性細胞のアキレス腱となっていることを示唆している。一方、これまでの研究代表者の解析からショウジョウバエホモログZfh1(哺乳類ZEB1ホモログ)の発現をSrc活性化細胞集団で亢進すると、これらの細胞集団は過剰に増殖し隣接組織に浸潤転移することが分かっている。そこで、SrcとZfh1を活性化した細胞集団に対するマクロファージの応答を解析したところ、これらの細胞はその周囲にマクロファージが集積しているものの排除を免れる挙動を示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マクロファージによる腫瘍の認識排除に関わるがん原性細胞側の分子が見えてきたことで、本分子を認識するマクロファージの受容体の探索・絞り込みの道筋が見えてきた。また本解析過程で、腫瘍とマクロファージ間で起こる相互作用と類似の生体応答が組織傷害時の異常細胞とマクロファージ間でも生じている可能性が出てきた。これらの結果を基にしながら、さらに解析を進めることでマクロファージによる自己・非自己認識の基本原理の理解につながる成果が期待できる。

今後の研究の推進方策

今後はがん原性細胞とマクロファージの相互作用に関して、腫瘍細胞の認識・除去に関わるマクロファージ側の分子(受容体)の同定とそのメカニズムを解析していく。また、転写リプレッサーZfh1の活性化がどのようにマクロファージによる腫瘍認識を回避させるのか、その分子メカニズムを遺伝学的に解析すると共に、Zfh1の活性化による腫瘍細胞の増殖促進や浸潤転移がマクロファージの認識回避と関連しているか解析を進める。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] 組織傷害に応答した上皮細胞と免疫細胞の相互作用による生体恒常性維持2023

    • 著者名/発表者名
      榎本将人、井垣達吏
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Understanding local and systemic cell-cell interactions that ensure epithelial tissue homeostasis2023

    • 著者名/発表者名
      榎本将人
    • 学会等名
      The 5th Morphomeostasis meeting
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 上皮と免疫細胞の時空間相互作用による生体恒常性維持2023

    • 著者名/発表者名
      榎本将人、井垣達吏
    • 学会等名
      第75回日本細胞生物学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] がんの発生を抑制する組織微小環境の遺伝学的解析2023

    • 著者名/発表者名
      中西與範、榎本将人、井垣達吏
    • 学会等名
      第75回日本細胞生物学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 細胞競合におけるJNK依存的な細胞死誘導を担う因子の同定とそのメカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      坪野友太郎、John Vaughen、Carmen Siow、藤井貴輝、榎本将人、谷口喜一郎、井垣達吏
    • 学会等名
      第75回日本細胞生物学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Src 誘導性のがん進展メカニズムの遺伝学的解析2023

    • 著者名/発表者名
      小川慶悟、榎本将人、井垣達吏
    • 学会等名
      第75回日本細胞生物学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] がんの発生を抑制する組織微小環境の遺伝学的解析2023

    • 著者名/発表者名
      中西與範、榎本将人、井垣達吏
    • 学会等名
      第9回がんと代謝研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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