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自己糖鎖認識機構の制御によりがん認識能を増強したCAR-NK細胞の開発

公募研究

研究領域生体防御における自己認識の「功」と「罪」
研究課題/領域番号 23H04781
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関大阪大学

研究代表者

保仙 直毅  大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10456923)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
キーワードCAR NK細胞 / CAR-NK細胞 / NK細胞
研究開始時の研究の概要

CAR-T細胞の開発により、特に血液がんに対しては獲得免疫細胞であるT細胞に腫瘍指向性を賦与し、がん治療に自在に用いることが可能になりつつある。しかし、自然免疫系細胞による多様な(前)がん細胞の感知とその排除の機構を強化することは未だにできていない。本研究では、NK細胞の自然免疫細胞としての免疫監視機構を人為的に強化したNK細胞をデザインすることを着想した。

研究実績の概要

われわれは、抗がん免疫能の補充を、自分の血液から作製した様々なデザイナー免疫細胞を用いて積極的に行うことを目指して研究を続けている。デザイナー免疫細胞とは、自己の免疫細胞に遺伝子導入等によりデザインを施すことにより、がん細胞・前がん細胞を感知して、細胞傷害能を発揮する、あるいはがん免疫反応を促進する様々な免疫制御分子を発現する機能を賦与された細胞である。T細胞に限らず、多様な機能を有した様々な免疫細胞を用いることが可能である。また、細胞の生存、局在、増殖、およびその機能を時空間的に制御することも可能である。デザイナー免疫細胞医薬は、体内で増幅・長期生存するという点で、従来の低分子・蛋白質を用いた医薬と大きく一線を画す、大きな可能性を秘めた医薬である。実際、デザイナー免疫細胞のプロトタイプであるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)はがん特異的抗原を認識してがん細胞を傷害する細胞で、今まで治せなかった多くの血液がん患者に治癒をもたらしている。自然免疫細胞であるNK細胞やマクロファージに対する細胞デザインも盛んに行われるようになってきており、特にCAR-NK細胞についてはすでに臨床試験での有効性が報告されている。本研究では、がん細胞・前がん細胞を認識し排除する機能を持つNK細胞が有する免疫監視能を高めたCAR-NK細胞を開発することを目指す。また、単純なCARではなく、synNotchレセプターを用いて、がん特異的に反応して、免疫促進分子を産生する、デザイナー細胞の作製も進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

急性骨髄性白血病に発現する抗原を認識する抗体を多数作成し、それらから可変部領域の配列を同定し、それを元にCARを作製した。さらにそれらを臍帯血由来NK細胞に導入することにより急性骨髄性白血病細胞を認識するCAR-NK細胞を作製した。そして、それらの中でより高い細胞傷害活性を呈するCAR-NK細胞を選択した。次に、異種移植モデルにおけるヒト免疫監視能増強CAR-NK細胞の抗腫瘍効果の検討を進めた。ヒト急性骨髄性白血病細胞を移植しておいた免疫不全マウスに、上記において作製したCAR-NK細胞を投与することにより、腫瘍の排除が起こることを証明した。脳腫瘍およびB細胞性悪性リンパ腫においても同様に大量のモノクローナル抗体の作製、およびそれらを元にしたCAR-NK細胞の作製と、高機能のCAR-NK細胞のスクリーニングを続けている。このように各種のがんにおいて免疫監視能を強化したCAR-NK細胞の作製が進んでおり、おおむね順調な進捗と言える。

今後の研究の推進方策

Xenograft modelではCAR-NK細胞等による獲得免疫反応の惹起を解析することは不可能である。そこで、マウスがん細胞を移植したマウスに、作製したマウスCAR-NK細胞を投与し、その効果を検討する。その際に、免疫能が正常な野生型マウスおよび獲得免疫細胞を欠損するRag2-/-マウスを用いることにより、得られる抗腫瘍効果が獲得免疫細胞の活性化を介しているかを知ることができる。すでにマウス免疫細胞へのCARの導入には成功している。また、単純なCARではなく、synNotchレセプターを用いて、がん特異的に反応して、免疫促進分子を産生する、デザイナー細胞の作製も開始している。これらの効果をマウスのsyngenic tumor modelを用いて検証することにより、proof of conceptを得、さらに人への応用を目指して進めていく。急性骨髄性白血病だけでなく、脳腫瘍、乳がん、肺がんなど多彩ながん種について検討を進めていく。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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