研究領域 | 光の極限性能を生かすフォトニックコンピューティングの創成 |
研究課題/領域番号 |
23H04803
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
石橋 隆幸 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (20272635)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2024年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | ニューラルネットワーク / 磁気光学効果 / ガーネット / AIデバイス / ディープニューラルネットワーク / 磁性ガーネット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ニューラルネットワークの物理実装デバイスとして、磁性光学効果を利用した光回折型ニューラルネットワークデバイス(MO-D2NN)を提案する。光回折型ニューラルネットワークの特長を生かしつつ、磁性体の磁気光学効果を利用することで、実デバイスに要求される可視光動作、省電力、デバイスの微細化、リアルタイム演算の実現を目指す。具体的には、1) MO-D2NNの動作原理の理論構築、2) MO-D2NNの学習方法の開発、3) MO-D2NNの作製技術の開発、4)画像および映像をターゲットとした実証実験を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、磁性光学効果を利用した光回折型ニューラルネットワーク(MO-D2NN: Magneto-optical diffractive deep neural network)技術を開発することを目的としている。本提案のデバイスの二次元の光入力信号をそのまま入力、計算することのできる光回折型ニューラルネットワークの特長を生かし、磁性体の磁気光学効果を利用することで、実デバイスに要求される可視光動作、省電力、デバイスの微細化、リアルタイム演算をすべて実現しようとするものである。2023年度は、1) MO-D2NNの動作原理の理論構築、2) MO-D2NNの学習方法の開発、3) MO-D2NNの作製技術の開発について研究を行った。 1)では、これまでに開発してきたシミュレーション技術をベースとして、隠れ層間の距離依存性、磁気光学効果のファラデー回転角依存性について調査と、隠れ層における磁区の書込誤差に関する評価を行い、最適な構造や性能の評価技術を開発した。また、計算コストを抑えるとともに過学習になりにくいモンテカルロ法を用いたシミュレーション技術の開発を新たに行った。2)については、開発したMO-D2NNの光学系に2023年度に導入したガルバノミラーを組込んだ装置を開発した。このことにより、直径1ミクロンの磁区パターンを書き込むことに加え、100×100のパターンを数秒という短時間で書き込むことが可能になった。また、モンテカルロ法を応用した学習アルゴリズムを上述の光学系に適用し、デバイス上で学習を行うオンライン学習の基礎実験を行った。その結果、MO-D2NN杜開発した装置を用いることで手書き文字認識のオンライン学習が可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた、デバイスの作製技術および光学系の構築は予定通り行われた。光学系に関しては、ガルバノミラーシステムを導入したことで、レーザー照射による磁性膜への直径1ミクロンの磁区書込を高速に書き込むことができるようになった。また、100um×100umの大きさの磁区パターンを数秒で書き込むことができるようになった。さらに、モンテカルロ法を用いたアルゴリズムの開発にも成功し、オンライン学習の基礎実験に成功した。以上の内容は、MO-D2NNの基本性能が実現されたことを示すものであり、当初の計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、隠れ層に用いるビスマス置換磁性ガーネット薄膜の特性の最適化と多層化技術の開発を行う。また、学習アルゴリズムをさらに発展させ、より高速にオンライン学習が実現できるようにする。さらに、空間光変調デバイスを導入することにより、入力データを連続かつ高速に入力できるようにすることで、オンライン学習を実現する。その他、MO-D2NNの応用技術として、リアルタイムの画像および映像処理に関するシミュレーション技術を開発し、最終的には実デバイスを用いた実証実験を行う。
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