公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
生命の遺伝情報はDNAにより継承され、そこから転写されたRNAと翻訳産物であるタンパク質により構築される。タンパク質は代謝物により活性の制御を受ける。近年、質量分析を代表とする分析技術の発展の恩恵を受けて、体内代謝物の組成には細胞の状態や病態が反映されることが分かってきた。しかし、どの成分がいつ、どこで働いているのか、明らかにすることは容易ではない。この理由の1つに、ゲノムに直接的にコードされていない代謝物に対して遺伝学の適用が困難であることが挙げられる。このような代謝物が制御する生命システムを理解するための一つのアプローチとして、本研究では、天然物リガンドを用いて生命現象を解析しようとする化学遺伝学に取り組んできた。①生体膜脂質を認識する化合物の探索と作用解析微生物培養液抽出物から、独自に構築した探索系を用いてユニークな表現型を提示する脂質認識化合物を複数取得した。特に海洋の放線菌から得られた8-deoxyheronamide Cについては、リン脂質の飽和の炭化水素鎖を認識し、分裂酵母においては細胞壁異常を誘導することを明らかにした。②アミノ酸代謝を撹乱する化合物の探索と作用解析分裂酵母をモデル生物として構築した探索系により、特定のアミノ酸代謝に作用する天然物リガンドを2種類取得した。糸状菌から得られるアクチンを標的にする化合物については、セリンの資化を優先的に阻害するが、そこには活性酸素種が関係していることが明らかとなった。セリンの資化とアクチン骨格とが活性酸素種を介してクロストークする可能性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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