公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、タンパク質翻訳後修飾の1つであるSUMO化に着目し、これを制御するspectomycin B1(SMB1)の化学合成、さらにより高活性な化合物の創製を目指した構造活性相関を展開し、あらたな分子設計理論を確立することを最終目的としている。SMB1はダイマー構造を有し、モノマーはspectomycin A2(SMA2)という別の天然物である。SUMO化阻害活性に対するSMB1のダイマー構造の重要性は不明であった。そこでモノマー構造で阻害活性を示すかを明らかにすること、さらに阻害活性に対する不斉炭素の影響を検討することを目的として、今年度はSMA2とその類縁体spectomycin A1(SMA1)、並びにそれらの立体異性体の合成を検討した。合成を効率よく進めるため、天然型異性体を立体選択的に合成するのではなく、すべての異性体を一挙に得る手法が効果的と考え、これを実現できる合成戦略を立案した。また、官能基化され芳香環化しやすい6員環構造と、そのベンジル位に存在するβ-メトキシ-不飽和カルボン酸を、如何に構築するかもポイントであった。昨年我々は、不飽和カルボン酸をアルキンとしてマスクした前駆体を設定し、官能基化された6員環構造の構築を検討し、パラジウム触媒とヨウ化サマリウムを用いる環化によって、6員環構造を構築しつつ、可能な4種の立体異性体すべてを一挙に構築することに成功した。しかしながら、この生成物からβ-メトキシ-不飽和カルボン酸を構築することは出来なかった。本年度は、6員環構造構築前にβ-メトキシ-不飽和カルボン酸を組み込んだ前駆体を設定しなおし、種々検討した。その結果、同様の環化条件で、4種の異性体のうち3種を一挙に、しかもβ-メトキシ-不飽和カルボン酸等価体を有する形で得ることに成功し、さらにベンジル位の直接的酸化反応によって、SMB1の全骨格構築に成功した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 10件)
ファインケミカル
巻: 43 (No.2) ページ: 45-52
ACS Med. Chem. Lett.
巻: 4 号: 8 ページ: 730-735
10.1021/ml400144e
Org Biomol Chem.,
巻: 11 号: 42 ページ: 7326-7333
10.1039/c3ob41507d
Organic Letters
巻: 15 号: 7 ページ: 1748-1751
10.1021/ol400549q
Molecular Biosystems
巻: 9 号: 5 ページ: 1026-1034
10.1039/c3mb00003f
Med. Chem. Lett.
巻: 3 号: 4 ページ: 294-298
10.1021/ml2002778