公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
これまでC型肝炎ウイルス(HCV)産生を抑制する天然化合物を得ている。中でもSF186 (sulochrin)はHCVの細胞への吸着・侵入を阻害すること、SF30 (neoechinulin B)はHCV RNA複製を抑制することが示唆された。まずsulochrinの抗HCV作用の解析をおこなったところ、この化合物はさまざまなHCV遺伝子型の吸着・侵入を広く阻害すること、しかしながらB型肝炎ウイルス感染は阻害しないことが示された。これよりsulochrinはクラスリン依存性エンドサイトーシスを一般的に抑制するわけではないと考えられた。またsulochrinをインターフェロン(IFN)あるいはプロテアーゼ阻害剤と併用した場合は、いずれにおいても相乗的抗HCV作用を示した。また誘導体展開よりsulochrinよりも抗HCV作用の強い化合物を同定した。以上の結果は、sulochrinおよびその誘導体が吸着・侵入を阻害することによって、既存の抗HCV剤との併用でより強い抗HCV作用を示す化合物として有用であることを示唆している。またneoechinulin Bの作用を解析したところ、これはIFN経路とは関係なく抗HCV作用を発揮することが示唆された。一方neoechinulin Bはさまざまな核内ホルモン受容体の中で、HCV RNA複製を活性化することが報告されているliver X receptor (LXR)依存的転写を抑制することが明らかとなった。またLXRの他の阻害剤もHCV RNA複製を抑制したことから、neoechinulin BによるLXR抑制作用が抗HCV作用に関連していることが示唆された。このように今回、neoechinulin BはHCV複製を阻害するとともに、新しい生理活性としてLXR依存的転写を抑制することを明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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