公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
NV中心は、固体系では唯一、室温で単一スピンの観測及び操作が可能で、量子情報や磁気センサー等の分野で注目される。近年、特にNV中心の電荷状態制御について関心が持たれている。電荷状態は光励起によりStochasticに変化することが報告された。例えば532 nmの光励起では、-1価の電荷状態(NV-)と中性の電荷状態(NV0)の割合が、定常状態ではNV-:NV0=3:1である。光照射中の電荷状態のStochasticな変化は光学特性やスピン特性に大きな影響を与えるため、その制御は非常に重要である。また光励起による電荷状態の変化により核スピンのT2が室温で1秒を超えたという報告もなされた。電気的な電荷制御では更なる変化の高速化と効率向上により、更なるT2の長時間化が期待されるため、その実証研究は重要である。今回我々は単一NV-の電荷状態を電気的に初めて制御することに成功した(PRX 2014)。p-i-nダイヤモンド半導体を用い、i層に形成された単一NV中心に電圧を印可して電流を注入し電荷状態を変化させる。電荷状態のシングルショット測定設備を立ち上げ、ほぼ100%の確率でNV-からNV0に制御したことを定量的に示すことができた。これまで光照射と電気的操作を同時に行いながら電荷を制御した報告例はあったが、純粋に電気的効果のみでの操作、及び定量的に電荷の変化量を明らかにした点も初である。またdeterministicに純粋状態への生成を電気的に制御できた点も重要である。電荷変化速度は0.72 /(マイクロ秒)と見積もられ、遠い13C核スピンの電気的デカップリングの観点からは十分速い変化が達成できた。一方、暗状態では0.45秒以上安定なことが示された。成果は将来の量子ビットの速い電気的制御、電気的制御による量子メモリ時間の長時間化、センサー、単電子デバイス等にとって重要な結果である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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