配分額 *注記 |
9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2013年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2012年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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研究概要 |
我々は2010年にNHC触媒反応を用いた天然物atroviridinの全合成を報告した。atroviridinはポリフェノール型キサントン類であり、類似の構造を持つ天然物には抗がん活性や抗菌・抗酸化作用を持つものが多く存在する。atroviridinの合成経路を応用すれば、抗がん活性を有する天然物termicalcicolanone A, B の全合成が可能と考えた。Termicalcicolanone A およびBは、ヒト卵巣がん細胞A2780に対して細胞分裂増殖抑制作用を有する。 Termicalcicolanone A の合成研究:市販の2,4,5-トリフルオロニトロベンゼンおよび2-フルオロ-5-メトキシベンズアルデヒドを出発物質として、 NHCを触媒とする求核的アロイル化反応を行い、ベンゾフェノン誘導体を合成した。その後各種官能基変換および保護,脱保護を行い、プロパルギルエーテル体のClaisen環化反応にて,クロメン環を構築し、官能基変換および酸化反応を経て11段階,総収率18%にてピラノキサントン中間体まで合成出来た。プロパルギルエーテル化反応、Claisen転位反応等の数工程を経ることにより、全合成が達成できると考えられる。 Termicalcicolanone B の合成研究:市販の2,4,5-トリフルオロニトロベンゼンおよび2-フルオロ-4,5-ジメトキシ-2-フルオロアルデヒドから3工程でNHC触媒反応の基質である5-プロパギルアルデヒド体を合成した。このアルデヒドと3,4,5-トリフルオロニトロベンゼンとの間のNHC触媒による求核的アロイル化反応にてベンゾフェノン体を得た。この中間体からニトロ基の水酸基への変換、Lindlar 触媒を用いたアルキン部の還元、続くClaisen転位反応により、プレニル基の導入されたキサントンを合成した。ピラン環の構築、フッ素を脱離基とする水酸基の導入などを経て、全合成が達成可能と期待される。
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