公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、国内最大規模の加速器実験Belle II実験のデータ収集系の要素技術を簡素化することで、小規模実験でも利用可能な汎用小型データ収集システム(POCKET DAQ)を開発する。研究代表者・連携研究者および(研究実施計画外の)研究協力者は、ドイツの放射光研究施設DESYで行われたBelle II実験のための予備ビームテスト(テレスコープテスト)の読み出しにPOCKET DAQを持ち込んだ。テレスコープテストでは、ピクセル型位置検出器(PXD)2枚と、シリコン型崩壊点検出器(SVD)4枚を並べて配置し、SVDをPOCKET DAQで読みだした。ビームラインから受信するトリガー信号をPOCKET DAQ用に変換してこれを分配するシステム・SVDのデータを独自プロトコルBelle2Linkを用いて受信する電子回路・電子回路を読みだすCOPPER基板・COPPER基板を読みだすCPUとCPUのデータをさらに受信するPC・PCのデータをオンラインで処理してSVDのヒット情報から粒子の通過位置を再構成するオンライントリガーシステム(HLT)・HLTにより捨てられなかったデータ(または捨てられて空フレームだけとなったデータ)とPXDの読み出しデータを統合するPC・その出力をHDDに記録するシステム・上記のすべてを結合するネットワークシステムなど、一連のデータ収集の流れのすべてが正常に動作することを証明した。加えてオンラインでデータの内容をモニタし、異常があるときに検出器を調査できるようにするデータクォリティモニタ・ユーザーからPOCKET DAQの内部構造を隠ぺいしつつユーザーの誤操作を防ぐインターロック機能を備えた制御パネルなど、小規模でありながらデータ収集系に必要な要素をすべて盛り込んだシステムを完成させた。これをビームテストによって証明できたことは極めて大きな成果である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
IEEE Transactions on Nuclear Science
巻: vol 60, issue 5 号: 5 ページ: 3720-3724
10.1109/tns.2013.2273091