配分額 *注記 |
6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2013年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2012年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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研究概要 |
1,1-ジフルオロアルケンおよび1,1,2-トリフルオロアルケンの環化反応 [基本パターン A] : 1,1-ジフルオロアルケンの求電子的活性化について検討を行った。その結果、塩化パラジウム(II)と銀塩から生じるカチオン性パラジウム(II)種が高い触媒活性を示すことを明らかにした。また、この環化反応を1,1,2-トリフルオロアルケンにも展開した。これらの反応は、特定の位置にフッ素置換基を有する多環式芳香族炭化水素(ピンポイントフッ素化PAH)の位置選択的合成法となる。加えて、合成したピンポイントフッ素化PAHのTHFへの溶解度が、フッ素非置換体に比べて最大25倍になることも示した。これらの高い溶解度は、有機電子デバイスを作成する工程で重要な性質である。 1,1-ジフルオロアレンのドミノ環化反応 [基本パターンB] : 1,1-ジフルオロアレンのドミノ環化をタンデム形式で展開した。これにより、二つのフッ素置換基を有する種々の曲折型多環式芳香族炭化水素を収率良く得た。1,1-ジフルオロアレンが市販されている出発化合物から簡便に合成できることを考慮すると、この手法はフッ素置換曲折型多環式芳香族炭化水素の優れた合成法と言える。 2-トリフルオロメチル-1-アルケンの環化反応 [基本パターン C] : 二つのアリール基を有する2-トリフルオロメチル-1-アルケンのSN2'型反応が、アルミニウムLewis酸により効率的に進行すること、また、これにより生成した1,1-ジフルオロアルケンにトリフルオロメタンスルホン酸を作用させるとカチオン環化が進行し、テトラセン骨格を有する4環式ケトンが収率良く得られることを明らかにした。生成物のケトン部位を足がかりとして置換基導入と芳香族化が可能であり、最終的に置換テトラセンを高収率で与えた。この一連の反応は、アセン類の一般的合成法となる。
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