配分額 *注記 |
6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2013年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2012年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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研究概要 |
我々は既に,ロジウム触媒の存在下で,末端アルキンから容易に合成可能な1-スルホニル-1,2,3-トリアゾールに,水やアリルアルコールを作用させると,α-アミノケトンやα-アリル-α-アミノケトンが生成することを報告している。また,反応集積化を活用し, 銅触媒を用いる末端アルキンからのトリアゾールの合成とロジウム触媒反応をワンポットで行えることも見いだしている。すなわち,炭素-酸素結合や炭素-窒素結合,および炭素-炭素結合と異なる結合を一挙に末端アルキンへ導入することができた。今回,アリルフェニルスルフィドを作用させると,アリルアルコールの場合とは異なる位置で炭素-炭素結合を導入することに成功した。具体的には、CuTC錯体とRh2(OCOtBu)4錯体の存在下でフェニルエチンにトシルアジドとアリルフェニルスルフィドを作用させ,室温で6時間撹拌した後に,さらに120度で30分間マイクロ波照射すると4-フェニル-4-フェニルスルファニル-5-(N-トシルイミノ)ペンタ-1-エンが収率81%で得られた。さらに,α,β-不飽和アルデヒドを作用させると,trans-2,3-ジヒドロピロールが立体選択的に得られることも見いだした。本反応は,トリアゾールから生じたα-イミノロジウムカルベンにクロトンアルデヒドが付加し,4-オキサゾリン中間体が系中で生成する。ついで,N,O-アミナール部位の開環及び環の巻き直しが起こり,trans-2,3-ジヒドロピロールに至ったものと考えられる。 これらトリアゾールを経由する末端アルキンの多官能基化反応は,ステップエコノミーに優れているだけではなく,いずれも目的化合物以外に副生するものは窒素分子のみであるためアトムエコノミーにも優れ,廃棄物を出さないという観点からも環境調和を志向した新しい手法であるといえる。今後とも更に発展させていきたい。
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