公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
2013年度は、昨年度までに性能改善に成功していたナノ温度計(Oyama, et al., 2012)を用いて、細胞内の温度を測定するプローブを新規に開発した(Takei, et al., 2014)。温度感受性のある蛍光色素Eu-TTAと、温度応答しない蛍光色素Rhodamine 101の両者をポリマーナノ粒子へ封入したナノ粒子を作成した。2つの蛍光色素の強度比の温度応答性を予め校正しておくことで、強度比を計算すれば温度を求めることができる。さらに粒子が顕微鏡の焦点からずれても、焦点ズレによる蛍光強度の変化を、強度比の計算によりキャンセルして温度を求められる。ポリマーマトリクスにより、環境応答性のある蛍光色素が環境変化から隔離されるよう設計し、実際に、pH(4-10)、イオン強度(KCl 0-500 mM)、タンパク質濃度(BSA 0-45 wt%)、粘性(1-220 cP)といった広い範囲で影響を受けず、しかし温度だけに応答することを確認できた。これをヒト由来培養ガン細胞であるHeLa細胞へ導入したところ、酸性オルガネラであるエンドソームに局在していた。また温度をゆっくりと変化させた場合には、細胞が動いても細胞内の温度が計測できること、細胞内外の温度は計測精度の範囲内で等しいことが示された。次にカルシウムイオノフォアにより細胞内Ca2+濃度を急に上昇させると、温度分布が一つの細胞内で時間的および空間的に不均一となり、これは細胞全体の平均値を取ると、温度上昇と細胞内Ca2+上昇とには正の相関があった。このことから、本実験で計測された発熱の熱源は、Ca2+により活性化するものであることが強く示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 5件)
ACS Nano
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生物物理
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