公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
モノクロナール抗体BP102はショウジョウバエの中枢神経を特異的に染色する神経マーカーである。糖転移酵素の変異体における予備的な検索において、胚のBP102抗原の染色に異常が認められた。BP102抗原の構造は明らかにされていなかったが、一方、BP102抗原がショウジョウバエ神経細胞の初代培養で軸索の近位部に自立的に局在することが報告されていた。そこで、本研究は、BP102抗原の性状と輸送メカニズムを解析することを目的とした。初めに、我々は、BP102抗原の生化学的解析と様々な糖転移酵素の変異体を用いた検索と解析により、BP102抗原が特殊な構造を持つ糖鎖を含むことを明らかにした。さらに、本年度は、その輸送メカニズムを解析するため、Atmospheric Scanning Electron Microscopy(ASEM)を用いて、細胞骨格とBP102抗原の局在について検討を行った。BP102抗原は、軸索の近位部と遠位部の境界付近の近位部側に密集しており、環状に配置していた。また、ショウジョウバエの神経初代培養細胞では、2本のtubulinの束が軸索に沿って走行していることが明らかになった。さらに、これらの2本のtubulinの束が、BP102抗原の染色が陽性から陰性に変化する軸索境界付近で交差することがわかった。これらの事実は、BP102抗原の軸索近位部への輸送にtubulinが関与していることを強く示唆していた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Microscopy and Microanalysis
巻: 20 号: 2 ページ: 469-483
10.1017/s1431927614000178