公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
タンパク質に結合するムチン型糖鎖の合成開始反応を触媒するppGalNAc-Tファミリーの内、脳神経に特異的に発現するppGalNac-T17は申請者らの研究グループが単離・同定を行っている。この遺伝子は高次脳機能障害を示す先天性遺伝子疾患ウィリアムズ症候群の原因候補遺伝子の一つであり、生体では海馬を中心に、大脳皮質、視床、視床下部の一部神経細胞に強く発現することを明らかにしているが、典型的な糖転移活性を殆ど示さず、その機能は不明であった。申請者らは以前の研究で、ゼブラフィッシュppGalNAc-T17機能阻害胚では高脳神経細胞の軸索投射に異常が見られること、培養細胞を用いた実験系から一部の腫瘍細胞でppGalNAc-T17がアクチン繊維依存的なエンドサイトーシス経路であるマクロピノサイトーシスを負に調節することを明らかにしてきた。これらの知見はppGalNAc-T17が生体では神経細胞においてマクロピノサイトーシスを通じた脂質膜や膜タンパク質の輸送により神経突起伸長や神経生理機能などを制御している可能性を示唆している。本年度はこの可能性を検証するため、ppGalNAc-T17遺伝子欠損マウス(T17KOマウス)を作製し、その表現型の解析を行った。T17KOマウスは生後1ヶ月齢以降、野生型のマウスと比較して摂食量減少に起因すると思われる体重減少が見られ、また、若年期雄マウスの性行動や攻撃行動等の社会性行動に異常が見られた。詳細な発現解析の結果、ppGalNAc-T17遺伝子は摂食行動や情動行動を司る視床下部腹内側核や扁桃体にその発現が見られたことから、T17KOマウスではこれらの領域の神経機能が破綻していることが推測された。また、培養神経細胞を用いてppGalNAc-T17の機能解析を行うに当たり、P19胚性腫瘍細胞の迅速且つ高効率な神経分化誘導法を開発し、Journal of Neuroscience Methods誌上で発表した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)
Journal of Neuroscience Methods
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