公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
統合失調症の約30%は妊娠中の母親のウィルス感染に関連があると報告されているが、周産期ウィルス感染による脳神経発達障害の分子機構は不明である。そこで我々は、toll-like receptor 3 (TLR3) を介して自然免疫を活性化する二本鎖RNA様物質polyI:Cを用いて周産期擬似ウィルス感染モデルマウスを作製した。さらに、polyI:Cモデルの神経発達障害や脳機能障害には神経-アストロサイト相互作用が関与しており、アストロサイトで誘導される IFITM3が重要な役割を果たしていることを明らかにしている(Glia, 2013)。昨年度は、 polyI:C処置したアストロサイトの培養液 (polyI:C-ACM)に含まれる神経発達障害活性の本体を同定するために2D-DIGE法によるプロテオーム解析を実施し、候補分子を複数同定した。さらに候補分子の一つであるFollostatin like-1 (Fstl1)が神経発達障害活性を有することを明らかにした(投稿準備中)。本年度は、polyI:C-ACMに含まれるグリア因子として同定したmatrix metalloproteinase-3 (MMP3)に焦点を絞り、polyI:C処置後のアストロサイトにおける動態と神経発達に及ぼす影響を明らかにした。同時に、polyI:C刺激に対するアストロサイトとミクログリアの反応性を比較し、polyI:C刺激によりMMP3はアストロサイトで特異的に誘導・分泌されることを明らかにした (Brain Behav Immunity, in press)。これらの結果は、IFITM3の他、Fstl1やMMP3が神経発達障害における全く新しい創薬標的になりうることを示唆しており、本研究課題における最大の成果である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Brain, Behavior, and Immunity
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