公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
神経特異的RNA結合タンパク質HuCのノックアウト(KO)マウスは正常に発育するが生後7ヶ月になると歩行障害などの運動失調症状を呈する。このマウスの小脳では神経回路が正常に形成されたのちに遅発性にシナプス脱落を伴ったプルキンエ細胞の軸索変性が起こるが、プルキンエ細胞は細胞死には至らない。球状に変性した軸索にはミトコンドリアやAPPが貯留していることから軸索輸送の不全が疑われている。我々は軸索変性の分子メカニズムを解明するためにRIP-CHIP法およびHITS-CLIP法によりHuCの標的RNAのスクリーニングを行い、複数のKinesin、Neurexin1、Atg5、Atg12を含む多くのHuC標的候補遺伝子を同定した。HuC KOマウス由来プルキンエ細胞にKIF3A、3C遺伝子を強制発現させると部分的に軸索変性を是正できること、逆にKIF3AもしくはKIF3C遺伝子に対するshRNAを野生型プルキンエ細胞に導入すると軸索膨大が出現することを明らかにした。しかし、軸索末端の変性に対してKIF3A、3Cによるレスキュー効果が微弱であることから、細胞体近傍の変性の責任因子と軸索末端のそれが異なる可能性が示唆された。選択的エクソン12の下流イントロン内にHu結合配列が同定されたKIF2Aについても、KOマウス小脳RNAを用いたRT-PCRにより野生型と比較してKOではエクソン12のスキップ率が増加していることが示され、今後レスキュー実験を行う候補とした。また、生後1日齢のマウス小脳由来培養プルキンエ細胞にレンチウイルスベクターを用いてL7プロモーター/Mito-Venusを導入し、ライブイメージング系により観察したところ、軸索膨大部においてミトコンドリアの移動方向が乱れ、軸索輸送の障害を示唆する知見が得られた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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