公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ナトリウムチャンネルNaxは、細胞外Naレベルの上昇に応答して開口するNaレベルセンサーである。前回、細胞外環境のエンドセリンの濃度が高まると、NaxはエンドセリンB型受容体(ETBR)を介した調節を受け、平常時のNaレベルでも開口するようになることを報告した。Naxは、末梢神経系では非ミエリン化シュワン細胞(non-myelinating Schwann cells)に発現しているが、その生理機能については、これまで明らかになっていなかった。今年度、末梢神経の軸索切断後の神経回復過程において、Naxが重要な役割を果たしていることが明らかになった。坐骨神経を切断すると後肢足裏への刺激に対する脚の引込め応答がいったん失われ、その後に徐々に回復する。この時間経過をNaxノックアウトマウス(Nax-KOマウス)と野生型マウスで比較したところ、Nax-KOマウスの回復が遅れていた。この回復の遅れは、切断部位へ乳酸を投与しておくことによって改善した。さらに、乳酸を輸送するモノカルボン酸トランスポーター(MCT)の阻害剤を野生型マウスに投与すると、回復が遅れた。切断8週間後に、再生した軸索を組織学的に解析したところ、Nax-KOマウスではミエリン化した軸索の数が野生型マウスに比べて少なかった。培養したシュワン細胞からmRNAを回収して解析したところ、Nax、MCT及びETBRの発現が確認された。培養シュワン細胞にエンドセリン-1を投与すると乳酸の放出が促進され、その促進効果はETBRの阻害剤によって抑えられた。また、Nax-KOマウス由来のシュワン細胞を用いた場合には、エンドセリン-1投与によって放出される乳酸の量が野生型よりも少なかった。以上の結果から、末梢神経系の軸索切断後における軸索の再伸長過程において、ETBRを介したNaxの活性化とそれに続く乳酸の放出が重要な役割を担っていることが明らかになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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http://www.nibb.ac.jp/press/2013/03/29.html