公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ほ乳類など体内受精システムの走化性研究は、非生理的化合物に対する精子受容体の解析が行われている反面、生体内において走化性の存在を示す証拠はほとんどなく、たとえ走化性があるとしても、どのような仕組みで鞭毛運動に方向性を与えているかその理論さえ存在しないのが現状である。生体内の観察では、受精の場に誘引される精子はごく少数であり、しかも確実に受精できる精子を(走化性によるかは不明だが)誘引していると思われる。したがってほ乳類体内で実際に起きている精子の卵への誘導はシンプルな走化性研究ではなく、受精能獲得、超活性化、精子選択など、ほ乳類生殖研究で今後さらに重要となる課題を含んでいる。一方、海産無脊椎動物の精子走化性研究において、走化性物質とその受容体の同定、一連の細胞内情報伝達、非対称性鞭毛打を生じるメかニズム、精子3次元遊泳の測定と理論など哺乳類に比較し、研究全体が進んでいる。哺乳類と海産動物の明確な違いは、受精成立の場であり、精子が射出され、卵へ到達するときの環境、すなわち体内か体外か、が異なる。そこで、同種でありながら、2つの受精システム(体外受精と体内受精)を有するヤリイカを用いて2タイプの精子の比較を行った。スニーカー雄、ペア雄の精巣からRNAを抽出後、RNA-seqによる網羅的トランスクリプトーム解析、スニーカー精子とペア精子のプロテオーム解析を行い、2タイプの雄のつくるそれぞれの精子に特異的に発現する遺伝子を検索した。その結果、体外受精タイプのスニーカー精子では、ダイニンやチューブリンなどの鞭毛軸糸を構成する構造タンパク質がペア精子に比べ過剰に発現すること、反対にペア精子は、解糖系やミトコンドリアATP産生に関連する酵素がより多く発現することを見出した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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