公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
根粒菌とマメ科植物が営む窒素固定共生は、相利共生の代表的な例である。しかし、宿主植物が自然免疫や病原応答類似の手段によって根粒菌に対して攻撃を加える場合や、逆に根粒菌が寄生的に振る舞う場合もある。これら共生生物間の攻撃と防御機構の進化を解明する土台を築くことが本研究の目標である。本課題の第一の目的は、宿主の防御機構に対する根粒菌の対抗手段はどの様に進化しつつあるのかを解析することである。まず、ミヤコグサ根粒菌Mesorhizobium loti MAFF303099株の3型分泌エフェクターのうち、中近東原産のミヤコグサ近縁種Lotus halophilusとの共生に負の効果を持ち、植物病原菌にもホモローグの存在するMlr6361タンパク質について、負の効果の原因ドメインを明らかにした。また、ダイズ根粒菌Bradyrhizobium elkanii USDA61株が、Nodファクター受容体NFRに欠陥を持つダイズ変異体(rj1ダイズ:一般的なダイズ根粒菌の感染では根粒を形成しない)に対してさえ根粒を形成して窒素固定を行うこと、これは3型分泌系によりNFRを経ずに宿主の根粒形成遺伝子群を活性化しているためであることを示した(学会誌1)。さらに、活性酸素種除去酵素の一つであるスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を欠損するM. loti変異株は、宿主系統により根粒着生と窒素固定能が異なるという結果を得た(投稿準備中)。本課題の第二の目的は、寄生的根粒菌系統に対する宿主からの制裁は存在して共進化における選択圧であるのかを解明するモデル実験系を確立することにある。このために、根粒形成や窒素固定能の異なる様々なM. loti変異株に特異標識を付加した派生株を作製した。標識菌株群と宿主を構成成分とするミニ生態系の構築実験を開始した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.
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10031158633