配分額 *注記 |
11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2013年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2012年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,天然変性タンパク質(Intrinsically Disordered Protein, IDP)の実験値を再現する構造アンサンブルを計算機内に生成し,その構造特性を明らかにすることである。これまでの溶液X線散乱(Solution X-ray Scattering, SXS)の実験値を使った解析から,基本的にはIDPはランダムコイル鎖で説明可能であることが分かっている。一方,多次元核磁気共鳴法の1種である残余双極子結合(Residual Dipolar Coupling, RDC)の実験値は,ランダムコイル鎖に基づく予測値のアンサンブル平均と有意な差がある。本研究は,この差異を生じる原因となる局所的な構造形成傾向を定量的に検出し,その物理化学的要因を明らかにする。 本研究では,典型的なIDPであるαシヌクレインの解析を行うが,先ずはその比較対象として,尿素変性状態,及び酸変性状態アポミオグロビンを解析した。尿素変性状態は,アミノ酸配列上にターンなどの屈曲構造が一定の割合で含まれるものの,基本的にはランダムコイル鎖でRDCの実験値を再現することが分かった。一方,酸変性状態アポミオグロビンは,αヘリックスなどの2次構造を多量に含む領域,尿素変性状態様のランダムコイル鎖を示す領域,ポリペプチド鎖が極端に伸びた領域の3種類の領域がアミノ酸配列上に混在することが明らかとなった。局所的に鎖が伸びた構造が形成する理由は,分子内静電相互作用であることが強く示唆された。荷電残基を多く含むIDPの構造特性を解析する上で,本研究の解析法が有効であることが証明された。
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