公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
(1)イネ糖タンパク質のプラスチド局在化機構:イネプラスチド糖タンパク質であるヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ1(NPP1)におけるN-結合型糖鎖の結合部位をアーモンドグリコペプチダーゼA/nLC-MS/MSを用いて解析し、326NTTと579NHSが糖鎖結合部位であることが分かった。イネおよびアラビドプシス緑葉から葉緑体をパーコール密度勾配遠心法により単離し、葉緑体N-グライコームをグライコブロッティング/MALDI-TOF-MS法を用いて解析したところ、イネ葉緑体N-グライコームはアラビドプシスのそれに比べ量的・質的に複雑であることが示唆された。(2)イネ澱粉集積抑制酵素変異体の体温および光合成能に及ぼす高CO2・高温環境の影響: NPP1遺伝子の生理機能を明らかにするために、NPP1遺伝子のTos17挿入変異体npp1の形質を調べた。npp1変異体の幼芽のADP-グルコース分解活性が野生型の約20%となっていたことから、NPP1がイネおける主要なADP-グルコース分解酵素であることがわかった。npp1変異体では、温度条件、CO2濃度条件にかかわらず、野生型(WT)に比べて成長が早く、澱粉蓄積も高まることがわかった。また、サーモグラフィー観察からnpp1変異体の体温がWTと比較して低いことが見出された。さらに、種々のCO2濃度・温度環境下におけるnpp1変異体のCO2吸収・光合成能を解析した結果、すべての条件においてnpp1変異体のCO2吸収・光合成能が向上していた。特に、高CO2・高温環境下(33℃/28℃;1,600 ppm CO2)においてnpp1変異体のCO2吸収能がWTに比べて高かった。以上の結果から、NPP1遺伝子は気孔開閉、光合成並びに澱粉集積を負に制御する機能を有するものと結論された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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