公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
我々は、植物糖代謝(光合成および呼吸)過程において、副産物として生成する糖由来の毒性アルドケト化合物(ジカルボニル)による細胞障害(植物糖尿病)の発症メカニズムおよび解毒メカニズムの全容解明を目的に研究を行っている。本年度は、以下のことを明らかにした。(1) 高等植物での葉緑体局在グリオキサラーゼの発見と機能解析ジカルボニル解毒の全容を明らかにするために、AKRと比較し、MG解毒に特化しているグリオキサラーゼ(GLO)の存在とその生理機能解明を試みた。その結果、シロイヌナズナゲノムに、GLO1とGLO2遺伝子を見出した。GLO1の細胞内局在解析を行ったところ、葉緑体に存在していた。さらに、その遺伝子産物は、これまで報告されているヒト型GLO1の触媒能力に匹敵した。現在、シロイヌナズナで、GLO1が欠損した変異株の生理解析を野生型と比較することにより行っている。(2) 高等植物シロイヌナズナ生葉でのジカルボニル生成とそのメカニズムの解明MGは、解糖系でのtriose phosphate isomerase (TPI)反応の副産物で生成する。我々は、葉緑体カルビン回路で機能するTPIもまたMGを生成する可能性があると考え、光合成条件下でのMG生成を検証した。その結果、葉緑体への光照射のみではMGは生成しなかったが、光合成条件かMGの生成が認められた。また、生葉でも、光に存して、また高CO2条件で光合成が促進されると、MGの生成が顕著に増加した。さらに、MG以外のジカルボニル生成の増加も認められた。これらの結果は、植物における光合成の営みは、ジカルボニル生成が不可避であることを示す。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Plant Cell Physiology
巻: 55 ページ: 233-240
Biosci. Biotechnol. Biochem.
巻: 77 ページ: 2038-2045
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巻: 77 ページ: 2441-2448
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