公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
細菌べん毛モーターは,細胞膜を介した電気化学的勾配にしたがって流入するイオンから得られるエネルギーを利用して,回転トルクを生み出す超分子複合体である.人工の電気モーターのように回転子と固定子から構成されており,約10個程度の固定子複合体が1個の回転子リングに同時に相互作用することが知られている.モーターの大きさは直径が約50 nmと小さいため,回転子と固定子が相互作用する現場を捉えることは困難であった.本研究では,機能しているモーター素子(回転子および固定子)を蛍光標識し,生きている細胞内においてモーター機能のダイナミクスを直接的に観察することを目指した.本年度の研究もモーター内における構成素子の分子追跡および分子配置の決定を目指して遂行した.まず,赤色蛍光色素で染色したモーター固定子複合体が動きをナノメートルの精度で追跡することができつつあるが,この動きがモーター内における回転機能を反映しているか確認するために,対となる回転子タンパク質にGFPを融合したものと同時に観察した.次に,PALM観察によって固定子複合体のモーター内での配置を決定するために,蛍光タンパク質の融合法の改良を試みた.モーター固定子複合体は複数個のサブユニットから構成して機能しているため,モーター固定子複合体あたり複数の光活性型蛍光タンパク質が融合されることになる.そこで,固定子タンパク質を遺伝子改変して,分子複合体内でヘテロな構造を取らせることで問題解決に近づくことができた.また,固定子位置決定に重要になる,モーターに相互作用する固定子の種類や数を制御する方法についても検討し,その過程でモーター構成素子の制御についての新しい知見を得ることができた(Sowa et al. 2014).
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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120004057183