公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
長鎖非コードRNA は,ゲノム刷り込み遺伝子クラスターに共通して認められ,染色体ドメインレベルの転写制御に深く関与していると考えられるが,その作用機序は依然明らかにされていない。そこで,本研究では15q11-q13領域で転写している父方アレル特異的な長鎖非コードRNA,UBE3A-ATSの作用機序を明らかにしようと考えた。そこで,ヒト染色体工学技術を用い,UBE3A-ATSのプロモーター領域となるPWS-ICを欠失したヒト15番染色体を構築し,アレル特異的遺伝子発現制御におけるPWS-ICの機能を解析した。その結果,UBE3A-ATSが転写する正常な父方15番染色体上では父性発現を呈するNDN/MAGEL2遺伝子領域は有意に15番染色体テリトリーの外側に位置しているのに対し,UBE3A-ATSの転写を欠失させた染色体上では,NDN/MAGEL2遺伝子領域が15番染色体テリトリーの内側にシフトし,転写が不活性化している事を見いだした。このことから,UBE3A-ATSは何らかのメカニズムによって15番染色体テリトリー内の遺伝子配置に影響を与え,刷り込み遺伝子の転写をダイナミックに制御していることが明らかとなった。さらに,本研究では本来発現のない母方ヒト15番染色体上でUBE3A-ATSを異所的に発現させることを目的に,母方ヒト15番染色体上にPTRE3Gプロモーターを挿入した改変染色体を作製したが,ドシサイクリンによる誘導で効率的なUBE3A-ATSの転写誘導を行えなかった。ドシサイクリンによる効率的な誘導は,PTRE3Gプロモーターの挿入ゲノム領域に依存することが示唆されたため,現在,他のゲノム領域に挿入した改変染色体を作製中であり,改変染色体の構築後,UBE3A-ATSの異所的発現による影響を考察する。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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