公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本申請課題は申請者らが独自に考案した『情報基盤定量法』を中核とする統合定量プロテオミクスを用いて、細胞内代謝制御ネットワークを構成するプロテオーム情報(発現・相互作用・翻訳後修飾など)を定量的に取得し、その分子論的理解に貢献することを目的とする。平成25年度は以下の項目にそって研究を実施した。1)タンパク質リン酸化状態の網羅的計測:代謝酵素のうちいくつかはリン酸化による制御を受ける事が知られている。そこで、リン酸化ペプチド高純度濃縮法と近年開発された次世代定量プロテオミクス解析法であるデータ非依存的解析法を組み合わせることで、増殖因子等の刺激に応じて変動するリン酸化プロファイルを得た。2)代謝物および転写産物の網羅的定量:前年度作製した細胞癌化や細胞周期休止期モデルを対象に細胞内代謝物量をCE-MSを用いたメタボローム解析によって計測した。同モデル細胞に対して次世代シークエンサーを用いたトランスクリプトーム解析を実施した。3)代謝酵素における相互作用情報および詳細翻訳後修飾情報取得:膨大な代謝酵素と相互作用する因子探索のためには定量的で再現性の高い免疫沈降-質量分析解析法の構築が必要である。次世代ヒト型ロボットを導入し、全自動酵素消化法の構築や免疫沈降法の最適化を実施した。4)トランスオミクスデータ統合による知識発見:「代謝-シグナル伝達」あるいは「代謝-転写」の接点をあぶり出す目的で、上記計測により得られた大規模定量情報を統合した。統合にはKEGGやReconなどのデータベースより取得したネットワーク構造を参照にした。得られた情報をもとに各状態において重要な役割を担っている酵素の推定を可能とする新規情報生物学的手法の構築に成功した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)
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巻: 288 号: 40 ページ: 28488-502
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10.1021/pr3005474