公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
細胞内エネルギーセンサーとして機能するタンパク質リン酸化酵素AMPKのファミリーに属するSIK3の遺伝子破壊マウスは、重篤な胆汁うっ滞を特徴とする肝機能障害が発生する。遺伝子発現パターンの異常としては、胆汁酸合成経路をフィードバック的に抑制するSHPの遺伝子発現が低値で、胆汁酸負荷でも変動しない。今回は、SHPの発現誘導に関与するFXRの機能解析をSIK3により抑制されるClass2-HDACの阻害並びに強制発現とSHPのプロモーター解析の組み合わせで解明した。マウス肝臓癌細胞AML-12細胞を種々のHDAC阻害剤で処理し、SHPの発現を検討した。その結果、Class2-HDAC阻害剤のMc1568でSHPのmRNAの発現亢進が観察された。反対に、アデノウイルスでの強制発現では、Class2-HDACに属するHDAC5の強制発現でSHPのmRNAレベルが低下した。また、HDAC5のSIK3リン酸化部位の破壊はSHPのmRNAの発現抑制と増強した。次に、FXRのリガンドであるGW4064と、HDAC阻害剤との同時処理によるSHPプロモーター活性を検討した。その結果、GW4064によるSHPプロモーターの活性化はMc1568で相乗的に亢進した。しかし、Gal4-FXRのキメラ因子の活性はMc1568の影響を受けないことから、SHPプロモーター上のMc1568の責任部位を検索した。その結果、TATA-box(ATATAAATAG)と予想される配列が、Class2-HDACで抑制されるMef2の結合配列に類似していた。そこで、この配列の3’領域に変異を入れたところ、Mc1568による亢進が消失した。このことから、FXRの反応性はTATA-boxの機能を介して制御されていると結論した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.nibio.go.jp/part/project/metabolism_disease/