公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
多くの生物がその体内に共生微生物を持つことが知られているが、それら内部共生の分子基盤については未だ不明な点が多い。本研究ではホソヘリカメムシ-Burkholderiaモデル共生系を対象に、共生器官の大規模トランスクリプトーム解析およびRNAiスクリーニングを行い、共生成立に関わる宿主昆虫側の遺伝子基盤を網羅的に同定することを目的としている。研究2年目にあたる本年度は、(1)共生細菌のGFP発現変異株を用いた感染過程の詳細なステージング、(2)共生細菌の感染にともなって発現変化する遺伝子のRNAseqによる網羅的解明、(3)in situ hybridizationによるシステインリッチタンパク質(CRs)の発現部位の特定、(4)CRsのRNAiを行った。(1)については共生細菌のGFP発現変異株を作成し、2齢若虫に経口摂取してその感染過程を詳細に観察した。その結果、共生細菌が共生器官(の原基)に感染した直後から共生器官の形態変化が起き、2齢期間中(約3日)のうちに共生器官の成熟が完了することが明らかとなった。(2)ではRNAseqで得られた約46,000遺伝子について解析を行い、共生器官の形態変化過程で発現亢進する遺伝子を探索した。その結果、多数のCRsや転写調節因子を同定することに成功した。(3)では、特に発現量が高かったCRsを対象にin situ hybridizationを行い、その発現が共生器官のみに限られることを明らかにした。(4)では発現量の高いCRsについてRNAiを行ったが、共生細菌の定着や維持に関して有意な影響を見出すことはできなかった。CRsが100種類以上検出されていることから、1種類をノックダウンしただけでは効果が相殺されてしまう可能性が考えられる。複数の遺伝子を同時にRNAiを行うなど、今後さらなる検討が必要といえる。本研究によって得られた成果について国内外の学会において発表を行い、また論文として発表を行った。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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