公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
遺伝子の発現振動は様々な遺伝子に見られ、転写翻訳におけるフィードバック制御の重要性が示唆されているが、転写因子のDNA結合と遺伝子発現振動との分子レベルでの関係は、未だ明らかではない。人工的に周期的発現を生み出すことができれば、遺伝子発現の振動メカニズムを解明するための新しい方法になると考えられる。前年度までに、代表的なDNA結合ドメインとして知られるジンクフィンガードメインと時計タンパク質として知られるBMAL1およびCLOCKタンパク質を用いて人工転写因子を作製し、哺乳細胞において、通常発現振動を起こさない遺伝子に対しても、リズミックな遺伝子発現を誘起することに成功した。また、転写因子のDNA結合親和性が振幅に影響を与えることを示唆する結果を得た。これらの知見を利用し、より大きな振幅を与えるシステムの構築に取り組んだ。ジンクフィンガーを用いたフィードバック回路の追加を試みた結果、抑制因子の発現と分解のバランスや発現のタイミングが振動発現の誘起には重要であることが示唆された。また、ジンクフィンガー以外のDNA結合ドメインを導入した人工転写因子を作製したが、十分な振幅を得ることができなかった。この結果は、転写複合体構造の安定性も発現振動の重要な要素になることを示唆している。一方、時計タンパク質に変異を導入してジンクフィンガーを用いた人工転写因子の標的DNA配列選択性を向上させたところ、より大きな振幅を生み出すことができた。人工システムを用いて得られたこれらの結果は、発現振動を理解するために重要な知見を与えるものである。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 3件)
Biochem. Biophys. Res. Commun.
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