| 研究領域 | 極限宇宙の物理法則を創る-量子情報で拓く時空と物質の新しいパラダイム |
| 研究課題/領域番号 |
24H00970
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| 研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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| 配分区分 | 補助金 |
| 審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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| 研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
古川 俊輔 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (50647716)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
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| 配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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| キーワード | 物性理論 / トポロジカル相 / 量子エンタングルメント / 量子計算 / 量子スピン系 / 量子測定 |
| 研究開始時の研究の概要 |
液相から固相への転移が分子の自発的な秩序化として理解される一方、そのような秩序化では捉えられない奇妙な物質相としてトポロジカル相が知られ、量子磁性体や半導体などにおいて盛んに研究されている。本研究では、トポロジカル相研究の新しい舞台として、急速に技術革新の進む量子コンピュータに着目する。クラウド利用できる量子コンピュータを利用してトポロジカル状態をつくり出し、量子誤り軽減法によりノイズの影響を抑えたもとで非局所相関関数などの量子計算を行う。また、トポロジカル相に内在する量子もつれを量子情報の視点から特徴づける方法を発展させ、物性物理学と量子情報の融合領域の開拓を推進する。
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| 研究実績の概要 |
本研究課題は、量子制御、量子もつれ、双対性の視点を軸に、物性物理学におけるトポロジカル相と相転移の学理を深化させることを目的としている。2024年度の成果は以下の2点である。 [1]カイラリティ型4体相互作用を有するスピン1/2 Heisenberg梯子模型の基底状態相図を結合定数が正負の両方の場合について詳細に決定し、論文として発表した。この模型は、スピンとカイラリティの複合効果を調べるためのミニマルな設定として興味深い。2種類の双対変換と有効場の理論を組み合わせることで、相図の概形を解析的に導いた。その結果、トポロジカル相、自明相、ダイマー秩序、カイラル秩序が複雑に競合する豊かな相図を得た。また、トポロジカル相、自明相は、スピン、ダイマー、カイラリティなどの異なる自由度の相関が支配的となる複数の領域に分かれることが明らかになった。厳密対格化および密度行列繰り込み群による数値解析を行い、解析計算で予言された相構造を定量的に確認した。 [2]量子情報処理のプロトコルに量子物性の考え方を取り入れることで、新たな多量子ビット制御法につながることが期待される。その例として、量子通信におけるエンタングルメント・スワッピングの量子多体状態への拡張に取り組んだ。具体的には、2組のスピン梯子状態(それぞれ脚1と2、脚3と4上で定義される)に対し、脚2と3の間でBell測定と事後選択を繰り返すことで、脚1と4上に新たなスピン梯子状態が形成される。つまり、測定によって脚間エンタングルメントが組み替えられる。2組のスピン梯子状態として種々のSPT相を用いるとき、測定後のスピン梯子状態がトポロジカルな加法則によって定まることを行列積状態表現により示した。また、場の理論による計算によって加法則の結果を再現するとともに、測定前後の相関長の間の関係を導いた。この結果を国内学会において発表した。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実施計画においては、(1)テンソル積状態と量子誤り軽減の融合量子計算によるトポロジカル相の研究、(2)量子もつれと双対性に基づく一次元トポロジカル相の具体例の研究を具体的課題として挙げている。 カイラリティ型4体相互作用を有するスピン1/2梯子模型の研究では、2種類のスピン・カイラリティ双対変換と有効場の理論を組み合わせることで、トポロジカル相、自明相、種々の秩序相の間の複雑な競合を解き明かすことができた。双対性の応用として課題(2)に資するものである。この研究では、双対変換は局所ユニタリー変換で表すことができるものであったが、今後、非局所的双対変換のトポロジカル相研究への応用も図りたい。 スピン梯子状態を用いたエンタングルメント・スワッピングの研究は、トポロジカル相や行列積状態、量子情報処理の考え方を組み合わせたものであり、課題(1)から派生した学際的研究である。この研究を論文としてまとめるとともに、テンソル・ネットワークと量子情報の融合研究を引き続き推進したい。
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| 今後の研究の推進方策 |
スピン梯子状態を用いたエンタングルメント・スワッピングの研究を完成させる。場の理論の計算を、共形境界状態とスカラー場のBogoliubov真空の両方のアプローチから行い、測定前後の相関長の間の関係を一般性の高い形で導く。一連の結果を論文としてまとめる。スピン梯子状態を臨界状態や秩序状態にした場合や、高次元状態にした場合など、多様な拡張を試みる。 測定が量子多体系に与える非自明な効果は、近年の量子制御技術の発展とともに大きな関心事となっている。この状況を鑑み、最もシンプルな量子多体系である朝永・Luttinger流体に対し、局所密度測定などの量子測定を施した後の系・環境間エンタングルメントを調べる。この問題は、周期的境界条件の場合について本研究課題の開始前に取り組んでいたが、それを実験的実現のしやすい開放境界条件の場合に拡張する。測定の強さを変えるとき、系・環境間エンタングルメントの従うスケーリング則がある点を境に相転移を起こすことを場の理論と数値計算により示す。 課題(1)に沿い、テンソル積状態と量子誤り軽減の融合量子計算によるトポロジカル相の研究を推進する。クラウド利用可能な超伝導量子コンピュータ上で一次元トポロジカル状態を生成し、量子誤り軽減法を活用することで、ストリング相関などの非局所的相関の高精度な量子計算を実行する。
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