本研究では〈生命・生殖技術の開発と実装〉という具体的な目的のもと実践的なガイドになりうる尊厳論を目指す。 本研究は二つの目的意識からなされる。(一)「人権」など法的概念との比較のもと、「尊厳」概念を生命・生殖技術の研究開発と実装のための具体的なルールに乗せること。(二)「自律」「理性」「品位」など、哲学的に隣接する概念との比較のもと、なお「尊厳」として理解すべき規範的内容を明らかにすること。 ルール化への可能性をつねに念頭に置くという法哲学の強みを生かし、生殖技術の開発と実装をよく導く「尊厳」概念を提示する。それは「尊厳」を目的達成に向けたプロセスとして理解していく道である。
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