研究開始時の研究の概要 |
一軸歪による結晶対称性が人工的に低下した状態での物性測定は, 強相関電子系の重要課題の一つである。しかし, 一軸歪と強相関電子系に必要な極低温を組み合わせた実験は技術的ハードルが高く, 限られた物理量しか測定できない。そこで私は, あらかじめ人工的に一軸歪を与えた単結晶を作製する手法として「軸性アニーリング」を創案した。軸性アニーリングとは, 単結晶に一軸歪を加えた状態のまま, 高温で保持して取り出す, 独自の物質作製法である。一軸歪は結晶対称性の低下に限らず, ドメインの単一化などの用途があるため, 高温超伝導体などへの広い波及効果が期待できる。
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