| 研究領域 | 炭素資源変換を革新するグリーン触媒科学 |
| 研究課題/領域番号 |
24H01844
|
| 研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
| 配分区分 | 補助金 |
| 審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
|
| 研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 泰之 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 准教授 (10385552)
|
| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2026-03-31
|
| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
|
| 配分額 *注記 |
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
|
| キーワード | メタン酸化触媒 / 固体型配位子 / 高原子価金属オキソ種 / ポルフィリノイド / 疎水性反応場 / カーボン担持触媒 / 鉄フタロシアニン / 高原子価鉄オキソ種 / ラジカル性反応活性種 |
| 研究開始時の研究の概要 |
グラファイト上にスタッキング型に組織化された窒素架橋鉄フタロシアニン二量体を過酸化水素処理して得られる高原子価鉄オキソ種は、高効率なメタン酸化触媒活性種として機能する。本研究では、下記の方法によりこの活性種を進化させ、高効率・高選択的なメタンーメタノール変換触媒反応を達成する。(i) 高原子価鉄オキソ種の反応性・生成速度を高める「固体型配位子」の探索。(ii) 高原子価鉄オキソ種を水と電気から生成させる反応の開発。(iii) 過剰酸化抑制システムの開発。
|
| 研究実績の概要 |
現時点までに得られた研究実績の概要について、研究開始当初設定した課題毎に以下にまとめた。 (A)高原子価鉄オキソ種の反応性・生成速度を高める「固体型配位子」の探索:窒素架橋鉄フタロシアニン二量体を特定の導電性カーボン表面上に担持することで、そのメタンC-H結合酸化活性化能が著しく向上し、室温においても効率良くメタンを酸化活性化できることを見出した。現時点において、C1酸化生成物濃度をベースにしたカーボン担持触媒の室温(25°C)におけるメタンC-H結合活性化能の最高値は0.024s-1であり、この値は天然のメタン酸化酵素の一種であるpMMO(45°Cにおいて0.05s-1)の活性化能と同水準である。この結果の一部については、現在論文投稿中である。 (B)高原子価鉄オキソ種の電解生成反応の確立:軟X線を用いた電気化学オペランドXASにより、水溶液中での電位印加により高原子価鉄オキソ種が生成することを示唆する結果が得られた。 (C)過剰酸化を抑制する「疎水性反応場」を持つ窒素架橋鉄フタロシアニン二量体の開発:側鎖にフェノキシメチル基を16個導入した窒素架橋鉄フタロシアニン二量体に対して化学的に安定なベンゼン誘導体を「人工補酵素」として添加することで、触媒反応活性中心の周囲に立体障害を導入した。その結果プロパンの酸化生成物の1位選択性/2位選択性の比が変化し、1位選択性の割合が増加した。これは、立体障害によりプロパンの反応活性中心へのアクセスが制限されたためであると考えられる。 (D)メタン酸化反応の反応条件検討:過酸化水素含む水溶液のpHがメタン酸化触媒活性に与える影響を調査した結果、pH 2-3の水溶液がもっとも反応に適していることが分かった。 この他、カーボン担持触媒を用いた室温ベンゼン直接水酸化反応に関する論文を発表した。
|
| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
各課題毎に現時点までの研究実績の概要について述べる。 (A)高原子価鉄オキソ種の反応性・生成速度を高める「固体型配位子」の探索:この課題では大きな進展があった。「研究実績の概要」項でも述べたとおり、窒素架橋鉄フタロシアニン二量体を担持することで、そのメタンC-H結合酸化活性化能が著しく向上する導電性カーボンを数種類見出した。 (B)高原子価鉄オキソ種の電解生成反応の確立:Si3N4チップ上に蒸着したカーボン膜の上に窒素架橋鉄フタロシアニン二量体を担持し、pH7のリン酸ナトリウム水溶液中で約1 V vs. SHEの電位印加をしたところ、Fe=Oに由来すると考えられる二重結合性酸素のピークの増大が確認された。これは、電位印加により配位水を持つ窒素架橋鉄フタロシアニン二量体が酸化されて高原子価鉄オキソ種が生成したことを示唆していると考えられる。 (C)過剰酸化を抑制する「疎水性反応場」を持つ窒素架橋鉄フタロシアニン二量体の開発:「研究実績の概要」項でも述べたとおり、側鎖にフェノキシメチル基を16個導入した窒素架橋鉄フタロシアニン二量体に対して化学的に安定なベンゼン誘導体を添加して、過酸化水素を含む水溶液中におけるプロパン酸化反応を行った結果、プロパンの1位酸化体が優先的に生成することを確認した。これはベンゼン誘導体が触媒側鎖のフェニル基と相互作用して立体障害となり、触媒反応活性中心への基質のアクセスが制限されたためであると考えられることから、現在検討を続けている。 (D)触媒分子を方向選択的に固体型配位子上にスタッキングさせる手法の開発:今後検討する予定である。 (E)メタン酸化反応の反応条件検討:上記(A),(C)の項目を検討する際に、随時検討を行い、反応条件を最適化してきた。過酸化水素を酸化剤とした場合、pH 2-3の水溶液がもっとも反応に適していることが分かった。
|
| 今後の研究の推進方策 |
以下に、各課題毎に今後の研究推進方策をまとめた。 (A)高原子価鉄オキソ種の反応性・生成速度を高める「固体型配位子」の探索:いくつかの導電性カーボンが、窒素架橋鉄フタロシアニン二量体のメタンC-H酸化活性化能を大きく高めることが明らかになったことから、今後はグリーン触媒領域内の共同研究も活用して触媒の電子状態解析を進めることで、「特定の導電性カーボンが触媒活性を高める理由」を明らかにする。さらに、窒素架橋鉄フタロシアニン二量体の化学修飾や導電性カーボン以外の固体配位子も探索し、現時点での最高活性(0.024s-1)を上まわる触媒を見出す。 (B)高原子価鉄オキソ種の電解生成反応の確立:電解により生成する窒素架橋鉄フタロシアニン二量体オキソ種が実際にメタンなどの安定有機物酸化に利用できるかどうかを評価する。 (C)過剰酸化を抑制する「疎水性反応場」を持つ窒素架橋鉄フタロシアニン二量体の開発:現在までに合成した「疎水性反応場」を持つ窒素架橋鉄フタロシアニン二量体を利用して、昨年に引き続き、メタンやプロパンの酸化反応を検討する。その結果に応じて、適宜、触媒分子の化学修飾を検討する。 (D)触媒分子を方向選択的に固体型配位子上にスタッキングさせる手法の開発:2種類の異なる鉄フタロシアニンからなる窒素架橋鉄フタロシアニン二量体を用いて、HOPG上への方向選択的スタッキングを検討する。 (E)メタン酸化反応の反応条件検討:昨年度に引き続き、適宜検討を続ける。
|