公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
従来の走査型近接場光学顕微鏡では、通常の光ファイバーを使うことによる円偏光の乱れ、近接場プローブのわずかな引っぱり歪みやねじれによって、円偏光が不規則な向きに乱されていた。そこで、本研究では集束イオンビームを用いて先端部と開口部の形状が軸対称に近い近接場プローブを開発した。さらにベレク補償子を用いて外部から光の偏光状態を補正する独自の手法を開発し、近接場プローブから出射される光の偏光状態を制御した。これらの手法により円偏光を近接場プローブから出射することに成功した。この円偏光走査型近接場光学顕微鏡を希釈冷凍機中に設置し、極低温・強磁場下において、GaAs/AlGaAs高移動度ヘテロ接合構造試料を局所光励起し、試料の電極間に生じるホール電圧を空間マッピングして調べた。その結果、ナノメートルスケールの領域へスピン偏極した電子を光学的に注入にすることが可能であることを実証した。さらに強磁場中でヘテロ接合構造試料中に生じる量子ホールカイラル端状態にスピン分裂した非圧縮性液体領域があることを初めて実空間で観察することに成功した。この空間マッピング測定によって得られた試料の電極間に生じるホール電圧の符号と大きさの位置依存性は局所スピン密度汎関数法に基づく計算によって説明され、最も内側の非圧縮性液体状態のスピン状態が大きな役割を果たしていることが示された。本研究で得られた成果は、例えば、消費電力を極限まで低減させるとされるスピントロニクス素子、トポロジカル素子の開発や、光学活性をもつ生体分子の研究の進展に貢献するものと期待される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (21件) 備考 (3件)
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