公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
平成26年度は以下の研究を行い、本課題をまとめた。(1) カイラル超伝導体におけるベリー位相揺らぎに依る巨大熱電応答...昨年度より継続して推進していたカイラル超伝導体におけるベリー位相揺らぎによる巨大熱電効果の研究を、実験グループと協力して、さらに発展させ、重い電子系超伝導体URu2Si2における巨大ネルンスト効果の観測として実証することに成功した。これは従来のローレンツ力によるネルンスト効果とは機構が異なり、カイラル超伝導揺らぎによる電子の非対称散乱に由来する、全く新しい効果である。本研究によって、この新しいトポロジカル巨大熱電応答現象を理論・実験両面から確立することができた。(2) 1次元トポロジカルモット絶縁体の研究...トポロジカル相への電子間相互作用の効果に関する研究は、この分野のフロンティアである。我々は自明なバンド絶縁体からトポロジカルモット絶縁体へのトポロジカル相転移について調べ、転移点でエネルギーギャップの無いスピノン励起が現れることを明らかにした。スピノンは電子の持つ自由度のうち、スピンのみを担う励起であり、相互作用のない場合のトポロジカル相転移ではあらわれない。この結果はトポロジカルモット転移の特徴を捉えた初めての研究成果である。また、トポロジカルモット絶縁体相では、電子の1粒子描像が破綻しているにも関わらず、相互作用のないトポロジカルバンド絶縁体相を特徴づけるトポロジカル不変量が、非自明な値になっていることが分かった。すなわち、相互作用のない場合に導入されたトポロジカル不変量が、強相関極限でも、トポロジカルモット相を特徴づける量として、有効に用いることが出来ることを意味しており、強相関系のトポロジカル相の理解をさらにすすめることができた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)
Nature Physics
巻: 11 号: 1 ページ: 17-20
10.1038/nphys3170
Physical Review B
巻: 90 号: 18
10.1103/physrevb.90.184518
Physical Review Letters
巻: 112 号: 19
10.1103/physrevlett.112.196404
Journal of the Physical Socety of Japan(掲載決定)
巻: 未定
巻: 89 号: 5
10.1103/physrevb.89.054506
巻: 87 号: 16
10.1103/physrevb.87.165109