公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
量子ホール状態、特に2次元電子系を2枚近接配置した2層系を中心に、さまざまなトンネリング・エネルギーを持つ試料でランダウ準位占有率νを変化させ、電気伝導測定やマイクロ波による共鳴現象の観測を通して、エッジ状態での電子の散乱機構とエッジの動的変化過程、および半量子渦対や磁気ロトン、スカーミオンなどの量子ホール系特有のトポロジカルな励起状態の特定とその生成・消滅機構を解明する。本年度は、高移動度GaAs量子井戸構造試料を用いて、量子ホール領域における2次元電子系のエッジ状態のダイナミクスを明らかにすべく、動的核スピン偏極(DNP)の周波数依存性の測定及び解析を行った。その結果、DNP電流の周波数が低い直流に近い領域では、一度上昇した磁気抵抗が再び減少するという新奇な現象を発見した。このことは、エッジ状態およびドメイン構造が時間変化する中で、周波数に依存してドメインおよびエッジが分離・再結合のプロセスを複雑に繰り返していることを示唆する結果である。このことをさらに明確化するため、ホールバー構造だけでなくコルビノ構造の電極パターンを形成して試料を作成し、試験を行った。また、同様の実験を、新奇な2次元電子系であるグラフェンを用いて行うため、単層および2層のグラフェンのデバイス化を行った。その結果、グラフェンの電気伝導度は、表面に吸着した分子吸着の効果が極めて強く、分子吸着状態でのエッジ状態やトポロジカル励起の研究が次の段階として待たれる極めて興味深い結果となった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (26件) 備考 (5件)
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