配分額 *注記 |
10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2014年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2013年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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研究実績の概要 |
(1) (Zn,Cr)Teにおけるアクセプターのドーピングによる強磁性抑制のメカニズム 強磁性半導体(Zn,Cr)Teにおけるアクセプター性不純物である窒素(N)のドーピングによる強磁性抑制の効果を定量的に調べた。Cr組成を一定として窒素濃度を変化させた一連の薄膜に対する磁化測定の結果、窒素濃度の増加により強磁性転移温度TCは低下しゼロに至るが、強磁性の消失はCr組成の値に係らず窒素濃度[N]がCr組成に対して一定の比の値[N]/[Cr]=0.08-0.1で生じることを見出した。一方、X線吸収微細構造(XAFS)測定では、同じく窒素とCrの濃度比[N]/[Cr]=0.08-0.1の付近でスペクトルに明らかな変化が見られた。これらの結果から、強磁性の消失は窒素ドーピングに伴うCrの電子状態の変化に起因することが示された。 (2) 2種類の遷移元素を添加した四元系混晶における遷移元素間の相互作用と磁性 異種の遷移元素間の相互作用およびそれに起因する新たな磁性発現を検証することを目的として、ZnTeに二種類の遷移元素Cr, Feを添加した(Zn,Cr,Fe)Teの研究を行った。MBEによりCr組成一定でFe組成を変化させた一連の薄膜試料を作製し、その磁化特性を調べた。その結果、Fe組成の増加に伴い、飽和磁化は減少する一方、保磁力は増加するという結果が得られた。これは、CrとFeの磁気モーメント間に反強磁性相互作用がはたらき、その結果磁化の大きさは減少する一方で磁気秩序は安定化するという理論予測と定性的に一致する傾向が示された。 (3) IV-VI族磁性半導体(Sn,Mn)TeのMBE成長と磁性 IV-VI族DMSにおける強磁性発現の探索を目的として、SnTeにMnを添加した(Sn,Mn)Teの磁化特性を調べた。MBEによる(Sn,Mn)Te薄膜成長において成長条件を最適化することにより、Mn組成6%以下の範囲で異相の析出がなく(111)方向のみに成長した(Sn,Mn)Teの単相の薄膜を得ることが出来た。磁化測定ではこれらの薄膜は低温まで常磁性を示し、強磁性発現は見られなかった。
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