公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
今年度は、Pd触媒のC-C結合活性化で始まるノルボルナジエンのシアノエステル化反応機構の理論的解明、エポキシドと二酸化炭素の共重合の効率的鉄(III)触媒の設計に関する計算科学的研究などを行った。(1) 本研究ではノルボルネン、Pd(PPh3)4 およびシアノギ酸メチルから生成する活性種trans-[PdII(CN)(COOMe)(PPh3)2] を計算モデルとして検討を行った。その結果、活性種からPPh3 1分子が脱離し、オレフィンがパラジウムに配位する段階において endo のπ錯体に比べ、exo のπ錯体がエネルギー的に安定であり、各反応段階においても exoで反応する経路がエネルギー的に安定であることが分かった。この結果は実験の選択性を説明できる。さらに、exoのπ錯体の方が、ノルボルネンのπ軌道とPdの孤立空軌道の重なりが大きいことが、exo選択性を説明できることが判明した。(2)プロピレンオキシドと二酸化炭素の共重合反応において、高いPPC選択性を持つ、かさ高い置換基を有するFe(III)-コロール錯体を、密度汎関数法計算により錯体とエポキシドおよび生成物のアルコキシドが金属に配位するエネルギーの差を計算することにより、設計した。(3)植物ホルモン様物質の生合成過程で重要な、シトクロムP450による脂肪族ペルオキシドからアレンオキシドの生合成反応機構を、QM/MM法によって検討した。アレンオキシドのO-O結合の解離により、Fe-OH結合の生成、エポキシドの生成などの反応経路を解明した。さらに、プロトン共役電子移動(PCET)は、水分子が加わると遅くなることを示した。以上の研究成果は論文に掲載された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 6件) 備考 (2件)
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